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注目選手インタビュー 佐藤悠基 前編

 実業団男子の駅伝日本一を決めるニューイヤー駅伝は13年1月1日、群馬県庁前を発着する7区間100キロで行われる。ニッカンスポーツ・コムではこの大会に出場する有力選手2人にインタビューを実施した。

 第2回は大会連覇を狙う日清食品グループのエース・佐藤悠基(26)だ。佐藤は11年の世界陸上と12年のロンドン五輪に日本代表として出場。ニューイヤー駅伝でも入部以来、3年連続区間賞と抜群の安定感を誇る。そんな佐藤にニューイヤー駅伝に向けての思いなどを聞いた。。

 インタビュアーは市民ランナーの鈴木莉紗さん(28)。鈴木さんはフルマラソンで2時間43分36秒の記録を持つ美人ランナーだ。

※インタビューは11月29日に行いました。

 

鈴木:ニューイヤー駅伝に向けて佐藤選手ご自身の調整具合はいかがですか?またチーム状態はどうですか?

佐藤:僕自身は11月に左足のふくらはぎに軽い肉離れを起こしてしまいました。本当は今回の合宿(11月26日〜12月3日)で走り込みたかったのですが…。次回の宮崎合宿(12月15日〜12月25日)で走り込もうと思っています。

 チームの状況は、例年だと故障者が多くてベストメンバーを組めないことが多いのですが、今年は故障者も無くここまできています。現状は7〜8割ぐらいの出来ですね。チームとしても最終の宮崎合宿で一気に調子を上げていきたいと思っています。

鈴木:前回大会では2年ぶり2度目の優勝。佐藤選手も4区(22.0キロ)で区間新記録(1時間02分51秒)の活躍でした。前回大会を振り返っていただけますか? 

佐藤:僕は駅伝を走る時は、区間順位は意識しないで、チームに求められている走りをすることを心がけています。前を追わなければいけない時は積極的に追いますし、先頭を走っている時は無難につなぐ走りをします。最終的にチームがトップで帰ってくることが大切だと思っています。周囲は区間新とかの話をしますが意識してないです。

鈴木:佐藤選手にとって元日に走るニューイヤー駅伝はどんな位置づけですか? またニューイヤー駅伝の魅力は何ですか?

佐藤:僕の中では年間に含まれている大会1つという位置づけです。もちろんチームにとっては大きな大会ですが、変に気負うと焦りが出てしまいますから、気楽な気持ちで臨んでいます。この大会の魅力は箱根駅伝の歴代スターや実力者が集まるので、レベルの高い大会だということですね。実際に走っても箱根駅伝よりもスピード感があります。距離も短いこともあるのですが、箱根は1キロを3分かそれを少し切るぐらいのペースですが、ニューイヤーの前半はトラックと変わらないペースで入るのでスピード感があります。

鈴木:世間的には大みそかやお正月はのんびりムードだと思うのですが、駅伝を控えた選手の方たちはピリピリムードなんですよね。

佐藤:はい。大みそかからチーム全体に緊張感が漂っています。世間の人たちは大みそかは夜更かしすると思うのですが、僕らは早く寝ます。また周りの年越しムードに流されないようにテレビはあまり見ないようにしますね。お正月にレースを走るのは本当に楽しみです。ロードシーズンに入ってから準備してきたものを出せる機会だし、出場できるというのは幸せなことですからね。元日の朝は起きた瞬間にワクワクしてスイッチが入りますね。大きな試合なので「やるぞ」という気持ちで目覚めています。

鈴木:ニューイヤー駅伝では入社以来、3年連続の区間賞ですよね(2010年=3区13.7キロ、2011年&2012年=4区22.0キロ)。3区と4区の違いは何ですか?

佐藤:3区は4区に比べて距離が短いので、気持ちとしてはトラックで1万メートルを走る感じです。なので前半から突っ込んで入って我慢して押し切る走りをします。4区は22キロあるので感覚的には箱根駅伝に近いです。前半から突っ込んだら後半にもたないので、最初の10キロをある程度のペースでリラックスして走り、後半はきつくなってくるのでどれだけペースを落とさずに走りぬくかを意識して走ります。

鈴木:ご自身でニューイヤー駅伝で走りたい区間はありますか?

佐藤:そういうのはないですね。上り坂が好きではないので避けたい区間というのははありますが…。オーダーは勝つために監督が決めるので、言われた区間をしっかりと走り抜きたいです。そのために万全の準備をしています。

鈴木:長い歴史のあるニューイヤー駅伝ですが、子供の頃からテレビで見ていましたか?

佐藤:いえ。実は子供の頃はニューイヤー駅伝の存在を知りませんでした。高校の時に少し見たかなー。それまでは箱根駅伝もしっかり見てなかったですからね。高校時代(長野・佐久長聖)は寮生活だったのですが、テレビ禁止だったんです。なのでテレビを見るという習慣がありませんでした。正月は帰省していたのですが駅伝もあまり見なかったですね。

鈴木:えっ、そうなんですか?

佐藤:はじめて箱根駅伝をちゃんと見たのは高3の時です。高3の時には東海大学への進学が決まっていたので、さすがに見とかないとヤバいかなーと思ってちゃんと見ましたが…。ニューイヤー駅伝もちゃんと見たのは東海大に入ってから。箱根の前日に、大学の先輩が走っていたので見ましたね。

鈴木:箱根駅伝でも活躍されましたが、箱根駅伝とニューイヤー駅伝との違いはありますか?

佐藤:競技に懸ける思いはそんなに変わりません。ただ実業団に入って会社からお金をもらって走っているので、会社をアピールしなきゃいけないし、それは優勝することで表現できるのだと思っています。箱根を走った大学時代は、4年という限られた時間の中どれくらい強くなれるのかという思いでやっていました。

鈴木:佐藤選手はトラックでも強いですが、駅伝はそれにも増して安定感があるように感じます。トラック競技と駅伝の違いは何ですか?

佐藤:当たり前のようですが、駅伝とトラックの違いは一斉スタートかそうでないかというところだと思います。トラックは一斉スタートなので位置取りや周りの選手との駆け引きがあり、敵との戦いだと思います。駅伝は僕にとっては自分との闘いです。どういったペースで走るのか、後半にいかに粘っていくかを考えながら走っています。

鈴木:チームで走る駅伝はお好きですか?

佐藤:うーん(かなり考える)。駅伝でのタスキに懸ける責任感というのは自分にとってプラスに働いていると思います。自分ひとりのものではないので、1秒でも早く渡すことを考えます。特に近年のニューイヤー駅伝は1秒差で勝負が決まりますからね。それに個人のレースになると「1秒ぐらいいいか」という妥協が生じることもあります。そういう意味でタスキをつなぐという責任感はいい意味でプレッシャーになっています。試合も楽しいですし。練習だけだったら、今頃陸上をやめてますよ。プレッシャーとか責任を感じることが生きがいになっているので陸上を続けていられるんだと思っています。

◆佐藤悠基(さとう・ゆうき) 1986年(昭和61年)11月26日、静岡県駿東郡清水町生まれ。中学3年時に3000メートルで8分24秒24の中学記録を樹立。長野・佐久長聖高時代は2年時の全国高校駅伝の4区で区間新記録(22分44秒)、高校3年時には1万メートルで28分07秒39の高校新、全国都道府県対抗男子駅伝の1区区間賞などの成績を残す。東海大では箱根駅伝で1年から3年まで区間賞。4年時も区間2位。2009年に日清食品グループ入社。11年世界陸上テグ大会、12年ロンドン五輪出場。178センチ、60キロ。

◆鈴木莉紗(すずき・りさ) 1984年(昭和59年)9月7日生まれ。2011年上半期にランニング雑誌「ランナーズ」の表紙を飾った美人市民ランナー。もともとは普通のOLだったが約3年前に走り始め、1年半でサブスリーを達成。フルマラソンのベスト記録は2時間43分36秒(2012年2月東京マラソン。日本人女子10位)。今年11月18日の横浜国際女子マラソンにも出場した。現在は加圧ジムのトレーナー。

  1. 注目選手インタビュー
  2. 宇賀地 前編
  3. 宇賀地 後編
  4. 佐藤 前編
  5. 佐藤 後編








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