第57回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は13年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点に行われ、同県内主要都市を巡る7区間100キロに37チームが参加して駅伝日本一の座を競う。前回優勝の日清食品グループが今回も本命だが、名門旭化成も戦力が充実し、21世紀初Vを狙える体制が整った。

 12月に行われた福岡国際マラソンで2位(日本人1位)となった堀端宏行(26)は「14年ぶりの優勝を飾って、1月9日に60歳になる宗猛監督の還暦祝いにしたい」と意気込む。堀端は11年のテグ世界陸上で7位入賞。ロンドン五輪こそ逃したが、福岡では藤原新(ミキハウス)と川内優輝(埼玉県庁)の2人を圧倒した。宗監督からも「日本記録更新も期待できる」素材と太鼓判を押されている。駅伝は最長区間の4区22キロを任されそうだ。

 旭化成の弱点は外国人が走ることができるインターナショナル区間の2区にあるといわれている。「日本のエースを育てるには、チームのエースであることが必要」という持論で、宗監督は外国人を採用しない。そのためその区間で2分近い差をつけられた時もあった。

 その状況に変化が生じそうだ。「外国人と2区を走ってみたい」と、新人の鎧坂哲哉(22)が2区での出場を志願している。11年には1万メートルで27分44秒30の学生日本人最高を記録。9月の全日本実業団5000メートルでは日本人2位と好走。「彼につかないと世界と勝負できません」とロンドン五輪1万メートル5位のカロキ(エスビー食品)に食い下がった。

 アテネ五輪で1万メートルに出場した大野竜二も九州予選3区区間賞と復活の気配を漂わせる。大野、鎧坂をはじめ1万メートルを27分台で走れる選手が登録選手中4人と選手層も厚い。2区で鎧坂が外国勢と1分以内の差で走れば、後半区間での逆転が可能になる。

 入社2年目の出口和也(24)は子供の頃に“常勝”旭化成に憧れていた。今年、旭化成勢としては21世紀になって初めて日本選手権5000メートルを制した。「駅伝もそろそろ勝って、宗監督を胴上げしたい」。機は熟した。