<世界陸上>◇27日◇女子マラソン◇クッチェボサン運動記念公園(韓国・大邱)発着の42・195キロ
19位の野尻あずさ(29=第一生命)が序盤に存在感を見せた。予想外のスローペースの入りに「ゆっくりのペースにはまるのは嫌だから、マイペースの結果」として、10キロ付近から約30人の先頭集団の先頭に立って、レースを引っ張った。25キロ付近から後退し順位を下げたが「失うものはない、得るものばかり-と思って出場してゴールしたら、その通りだった」と充実感いっぱいの様子だった。
ノルディックスキーの元クロカン選手で、高校時代は全国2位、大学ではインカレ3冠も達成したが、世界と戦うには力不足と、08年3月で13年間のスキー選手を引退。数カ月は生きることの「自信と目標」さえ失ったというが、走ることで再び人生を歩み出し、同年8月に第一生命入り。以後、父智弘さん、母伊津美さんら家族の支えを胸に歩んできた。「ニッポンの野尻あずさここにあり、の走りを見せたい」と話していた通りの、悔いのない走りだった。