<世界陸上>◇27日◇男子100メートル予選◇韓国・大邱スタジアム

 怪物ウサイン・ボルト(25、ジャマイカ)が世界の舞台に戻ってきた。男子100メートル予選。「連覇にこだわる」と位置付けた今大会最初のレースはスタートで飛び出すと、別次元のスピード感で40メートル付近から早くも力を抜き始めた。10秒10。途中で後方を振り返るしぐさを見せる余裕の走りだった。

 2年前の前回は9秒58の驚異的な世界新を出し、世界の度肝を抜いた。故障明けの今季はスタートの出遅れに不安を残し、自己記録は9秒88どまり。だがレース前は競技場の大型スクリーンに映る自分の姿を見て、あごひげをチェックするおふざけも出るほどリラックスした様子だった。

 今大会は「世界記録は無理。9秒7台か9秒6台を目指すよ」と威勢のいい言葉は口にしない。それでもライバルのパウエル(ジャマイカ)とゲイ(米国)が故障で欠場し、やはり主役の座は譲りそうにない。