大会2日目の28日に、男子100メートルの準決勝、そして決勝が行われ、いよいよ人類最速の男が決まる。初日(27日)の予選を振り返りつつ、北京五輪男子400メートルリレー銅メダリストの朝原宣治さん(39)が、見どころを語った。

 「ボルトは正直、よく戻してきたなと思います。(今季転戦した)ヨーロッパでは苦しそうで、ガムシャラに何とか勝っている感じだったのが、今日の予選はスタートも加速も、うまく修正されている。調子が悪いなりに、期待を裏切らない走りができるのは、やはりすごいですね。

 ただ、ベルリン(9秒58の世界新記録を出した09年世界陸上)の時のような、体のど真ん中から力が伝わるような、躍動感があると、もっと速くなる。今はまだ、足で走ろうとしている感じです。そうはいっても準決勝からエンジンをかけ始めるでしょう。

 対抗できるとすれば、ボルト以外の3人のジャマイカ勢。みんな調子は良さそうですね。そして注目はルメートル。(27日の予選3組で)ガトリンと同走でも堂々とした走りを見せました(1着ルメートル=10秒14、2着ガトリン=10秒31)。でも正直、悔しいです。白人選手が決勝に残るのは。自分が選手時代に達成したかったし、今大会(の男子100メートル)に日本選手が出ないことにも、責任を感じます。ただ、彼の走りは非黒人選手の刺激になればいいですね」。