<世界陸上>◇28日◇男子100メートル決勝◇韓国・大邱スタジアム

 9秒58の世界記録を持つウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)が痛恨のフライングで失格し、練習パートナーのヨハン・ブレーク(21=ジャマイカ)が9秒92で優勝した。

 黄色のユニホームが先頭でゴールを駆け抜けた。しかし、それはだれもが予想したボルトではなく、21歳の新鋭ブレークだった。着実なストライドで後半に鋭く伸び、ただ1人9秒台でフィニッシュした。「こんな瞬間が来るのを祈っていたんだ!」とレース後は興奮だった。

 準決勝を全体1位の9秒95で通過。好調さを決勝にもつなげた。「フライングがあったけど、レースに集中した。ジャマイカのために勝とうと思った。ボルトがいないレースで勝つ自信はあった」。練習仲間の失格にも動じなかった。09年に史上2人目の9秒台をマークしたホープ。母国で「真珠」の愛称を持つ男が、世界舞台で本物の輝きを放った。