<世界陸上>◇2日◇男子200メートル準決勝◇韓国・大邱スタジアム
世界最速の男ウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)が、今日3日の男子200メートル決勝で自身の持つ世界記録(19秒19)に挑戦する。100メートル決勝のフライング失格から5日ぶりに姿を現し、予選、準決勝と軽くトップで通過。レース後は「ライトニング(稲妻)ポーズ」を決め「自己記録に迫れると思う」と絶好調宣言した。また、同種目の日本勢、高平慎士(27=富士通)、斎藤仁志(24=サンメッセ)は準決勝で敗退した。
ボルトが「フライング・ショック」を吹き払った。準決勝2組6コース。ピストルの合図に、慌てず、丁寧に飛び出した。100メートルの反省からか、リアクションタイムは同組最下位の0・207秒。それでも長いストライドから加速し、コーナーからぐいぐい追い込む。あっという間に後続との差は広がった。ラスト30メートルは軽く流したが、トップの20秒31でゴールした。
サービス精神旺盛のボルトは、走るだけにとどまらない。スタンドに向けて「ライトニング(稲妻)・ポーズ」を披露すると、割れんばかりの大歓声。会場はまさにボルト劇場だ。ファンの熱狂的な声援を背に受け、機嫌良く満面の笑みで引き揚げた。
ボルト
コーチに言われた通り、思うような走りができた。100メートルから、この200メートルの間は日が空き、気分的にいいものではなかった。ただ食べて、休んで、何もしない4日間だった。ただ、自分のやるべきことをやろうと決意した。
大邱入りしている両親のサポートもあり、気持ちは完全に切り替わった。午前中のスタート時には韓国ならではのテコンドーのポーズを見せるなどノリノリ。これこそ、復活のサインだった。
28日の100メートル決勝で、まさかの一発フライングに終わった。隣のレーンのブレーク(ジャマイカ)の足が先に動いたと見る向きもある。しかし「自分が悪い。すべて俺のミスだ。楽しみにしてくれたファンには申し訳なく思う。明日の(200メートル決勝後の)会見でそこは話す」と真っ向否定。後輩の金メダルに水を差すことはしなかった。
今日3日の決勝は、いったいどんなレースを見せるのか。ボルトは「ライバルは7人全員だ。記録よりまず勝つこと」と言いながらも、最後に「自己記録に迫れると思う」と宣言した。強いボルトを、世界が待っている。【佐藤隆志】