【モスクワ19日=益田一弘】陸上男子100メートルで日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(17=京都・洛南高3年)が、世界ジュニア選手権(来年7月、米国オレゴン州)の金メダルに照準を合わせた。前日18日に世界選手権男子400メートルリレーで1走を務めて6位。高校生初の入賞者になった。来年は世界選手権がないため、19歳以下で100メートル世界チャンピオンを狙う。
モスクワから米国オレゴン州へ。桐生が「世界」に視線を向けた。初の世界選手権を終えて、モスクワから出国。次の大目標に、世界ジュニア選手権での100メートル金を掲げた。「世界ジュニアにはもちろんいきたい。飯塚さんが金メダルを取られているのでその流れとして頑張って(金メダルを)取って、いい流れにいきたい。種目は100メートルです」ときっぱり言った。
世界ジュニアは、2年に1度開かれる19歳以下の世界一を決める大会。来年7月に米国オレゴン州で開かれる。前回の12年バルセロナ大会では、飯塚が200メートルでアジア人初の金を獲得した。桐生は同世代で世界最強を証明する構えだ。
前日18日の男子400メートルリレーでは1走を務めた。予選は自慢の加速力で38秒23での2着に貢献。決勝は38秒39の6位。日本の高校生初の世界選手権入賞者が誕生した。洛南高がある京都市役所は「京都スポーツ栄誉賞」授与を検討中だ。
桐生は、左太もも裏肉離れで離脱した山県からの手紙を発奮材料にした。「また世界に行こう、という気持ちがある。また強くなれた。(10秒01を出した)4月の織田記念からあっという間だった。何本走ったか、覚えてない」。10秒01の衝撃から世界選手権6位入賞まで40レースを走った112日間を振り返った。
次戦は10月の国体(東京・味スタ)だ。遅い夏休みに入る桐生は「花火はもう終わっちゃっているんで。(高校の)皆で何か食べにいきたい。宿題は帰ってから。読書感想文があるけど、まだ何を読むか決めてないんです」と笑って、モスクワを後にした。