広中璃梨佳(21=日本郵政グループ)はシーズン序盤から不調が続いた中で、貫禄の2種目代表となった。4月に重度の貧血を発症し、約2週間という急ピッチの調整で迎えた5月の日本選手権1万メートル。7000メートル過ぎにトレードマークの帽子を脱ぎ捨てると、圧巻のスパートで萩谷楓(エディオン)とのデッドヒートを制した。
東京五輪で7位入賞した5000メートルは、悔し涙の内定獲得となった。6月の日本選手権。田中にラスト1周で置き去りにされ、2位に終わった。堂々の2種目内定となったが、レース後は涙を浮かべる場面も。「日本国内で悔しいということは、世界で戦うことはできない」。同種目の日本記録保持者は、初の世界選手権を前に米国での高地トレーニングを予定。「見ての通りスピードがない。1万メートルでも5000メートルでも対応できるスピードを磨きたい」と、どん欲な姿勢を示した。