田中希実(22=豊田自動織機)は異例の挑戦を続けながら、オレゴンの地に向けて調整を進めてきた。日本選手権では4日間で計5レースに出走。大会最終日は800メートル決勝のわずか75分後に、5000メートル決勝を制して代表内定を決めた。同大を卒業して新社会人の今季。シーズン序盤から、400メートルから5000メートルまで幅広い種目に出場し、体を追い込んで「レース勘」を養ってきた。
5月の米国遠征では世界最高峰のダイヤモンドリーグに出場するも、1500メートルで4分7秒43の15人中最下位に終わった。苦い経験だったが「世界の中でもっと戦えるようになるにはどうすればいいか、肌で感じることができた」と前を向く。父でコーチの健智(かつとし)さんと二人三脚で歩む22歳。世界選手権は19年ドーハ大会に続く出場となる。日本選手権後のホクレンディスタンスチャレンジ(北海道)では、1000メートルで2分37秒33をマークし、自身が持つ日本記録を塗り替えた。好調を維持して、米国に乗り込む。