2月27日からポーランドで行われた自転車トラック世界選手権(世界選)では、男子ケイリンで新田祐大(33=福島)が銀メダルを獲得し、18-19シーズンの世界ランク1位に輝いた。日本勢としても同種目で2年連続の銀メダル。東京五輪出場権を争う最初のシーズンは男女とも、ケイリンでの活躍が際立った。
- 世界選手権から帰国した日本チーム。左から太田りゆ、小林優香、銀メダルの新田祐大、深谷知広、脇本雄太
新田は世界選での銀メダルに「このメダルを目指して1年頑張った成果。1月のアジア選手権からW杯と連戦で、つらかった時の忍耐力、精神力が生きた」と喜びをかみしめた。決勝では、優勝したマティエス・ブフリ(オランダ)にあと1歩にまで迫る大健闘。この結果、今シーズンの男子ケイリンで新田が堂々の世界1位にランクされた。東京五輪出場枠を争う国別ポイントでも日本は1位となり、出場枠獲得争いで世界のトップを走っている。
今大会のケイリンから五輪と同じように、予選(敗者復活戦)→準々決勝→準決勝→決勝となり、W杯より1回戦多い、最低4走の体力勝負になった。五輪と同じ勝ち上がりを経験できたことも収穫だった。不利もあって決勝を逃したエースの脇本雄太は「みんなW杯で戦った相手だけど、表情や目つきが違った。レースも狭いところや危ない動きが多かった」と言う。その脇本も個人では世界3位。世界一を狙う外国勢の本気モードを肌で感じたことは、来シーズン、そして五輪本番の舞台で生きるはずだ。
女子ケイリンは小林優香と太田りゆが、ともに準々決勝で無念の敗退。今季W杯では小林が銅、太田が銀とメダルを手にしていただけに、誰よりも本人たちが悔しさをにじませる。小林は「脚力不足で負けたら納得だけど、そうじゃないから悔しい。ゾーンに入りきれなかった」と精神面の課題を挙げた。太田は「ケイリンでは力の差はないと思う。決勝の2、3位は勝ったことのある相手」と言い切る。2人とも、互角に戦える自信があればこその悔しさだった。
もっとも、世界選でのメダルがもはや当然と思えるほど、ブノワジャパンの成長は著しい。今季はW杯のケイリンでは男女合わせて5個のメダルを獲得し「ケイリンの日本」を世界に強くアピールできた。今後はケイリンとスプリントへの出場が可能となる男子チームスプリントの底上げと、男女ともスプリントでの世界の差を埋めることが課題。ただ、その可能性は大いに秘めている。来季もブノワジャパンのメダルラッシュに期待したい。(おわり)