<第87回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)
帝京大の西村知修(4年)が4区で従来の記録を30秒も更新する54分34秒の快走を見せた。「10キロの時点で設定タイムよりも速かったけど、体も動いていたので」と、中野監督の制止を振り切って疾走した。長崎県・五島列島出身で、五島高校時代は1500メートルが本職の無名選手。就職が決まっていたが、「上のレベルで走ってみたい」というギラギラした目に同監督が魅せられて進学に変更した。「映画にもなったマンガ『奈緒子』に重なりますよね」。長崎の離島出身で「日本海の疾風」と呼ばれる主人公の壱岐雄介と同様、粗削りな才能が磨かれてダイヤモンドになった。試合2日前、同監督に「区間新をとりたい」と真顔で相談したという。「10キロ過ぎはきつかったけど、乗り切ったら気持ちよく走れた」。4区に吹く海風で元気を取り戻す姿も、壱岐雄介そのものだった。【塩畑大輔】