<全国高校バスケット選抜優勝大会:延岡学園88-55尽誠学園>◇男子決勝◇29日◇東京体育館
延岡学園(宮崎)が尽誠学園(香川)に快勝して初優勝、高校総体、国体との高校3冠を達成した。第1クオーター(Q)で20-8とリードを奪い、その後は攻守ともに危なげない試合運びで勝ちきった。男子の高校3冠は98年の能代工(秋田)以来5校目。
延岡学園の完勝だった。22得点のベンドラメ礼生(3年)は「いい内容で勝ててよかった」と言い、北郷純一郎コーチ(69)は「内容なんてぜいたくは言わない。1点でも多く取れば」。岩田大輝主将(3年)は「『3冠』のプレッシャーを解放した」。言葉は違っても、勝利への執念は同じだった。大量リードにも、集中力をつなぎ続けた。
「選手は負の財産を、頭にたたき込んでくれた」と北郷コーチ。自信を持って臨んだ昨年の大会は、3回戦で不本意な2点差負けを喫した。当時の主力が3年生になった今季は「新チームになった時からプレッシャーに追われていた」と寺原拓史(3年)は振り返る。高校総体で勝っても本大会で優勝できなかった過去の反省から、同コーチは学校行事などが忙しい秋に練習量を減らした。それが選手の自主的を生み、「先発も控えも力の差がない」(寺原)選手層を生み出した。
発奮材料もあった。大会直前に1年生留学生が、登録の事情で出場できなくなった。「出られない選手の分も、という気持ちがあったのでしょう」と北郷コーチ。すべてがかみ合っての3冠達成だった。【岡田美奈】