<全国高校バスケット選抜優勝大会:沼津中央90-56福岡大大濠>◇男子3位決定戦◇29日◇東京体育館
沼津中央が静岡県勢史上最高の3位で締めた。前夜のミーティングで敗戦のショックを吹っ切ったチームは、第1クオーター(Q)から得点を積み重ね福岡大大濠を下した。シェリフ・ソウ(3年)の留学とともに始まった男子バスケ部強化1期生たちの挑戦。全国制覇には届かなかったが、笑顔で幕を閉じた。試合後、シェリフは「日本人になりたい」と、将来への思いを語った。
3年間を締めくくるにふさわしい圧勝。笑顔のシェリフが、将来の話になると真剣な表情を見せた。卒業後は関西学生リーグ1部の近大へ進み、4年後はさらに上のステージを目指す。日本でバスケ人生を歩むために秘めた思いがあった。
「日本人になりたい」。居住年数や年齢など条件は整っていないが、国籍取得を希望している。高校バスケ界を驚かせたプレーが、トップレベルで通用するとは思っていない。ポジションもセンターから得意のフォワードへ変更するつもりだ。トップで出場しやすくするために。もちろん、それだけではない。充実した日々を過ごした日本に愛着があるからこその判断だ。
09年5月23日にやって来た202センチのセネガル人留学生。圧倒的な能力に、対戦相手からは批判も上がった。だが、杉村敏英監督(62)は反論する。「ソウを相手に練習したから、うちの日本人は成長した。他チームも対戦して底上げにつながったと思う」と、低迷する日本バスケ界への効果を強調した。国籍取得が実現すれば、選手として日本代表を救う。そんな日が来るかもしれない。
この日の試合では、87-47の第4Q残り4分29秒から控えの3年生4人とプレー。「最後に一緒にやれて楽しかった」と苦楽をともにした仲間と至福の時間を過ごした。5試合で171得点117リバウンド。2年連続で得点王とリバウンド王を獲得し、ベストファイブにも選出された。表彰式では銅メダルにそっとキスした。【石原正二郎】