第91回全国高校ラグビーがきょう27日、開幕する。優勝候補筆頭と目される常翔学園(大阪第2)は、代表決定戦で常翔啓光学園との「兄弟対決」に完勝。その勢いを持続したまま仙台育英(宮城)とコザ(沖縄)戦の勝者との初戦(30日)に臨む。仙台育英とは9月の東北遠征で震災復興支援のTシャツを送り練習試合も行った仲だが、勝負となれば話は別。一段とパワーアップした“常勝”軍団に注目だ。

 校内のトレーニングルームでめいめいの調整を行う選手たちは、開幕を翌日に控えているとは思えないほどリラックスしていた。そんな教え子を見つめる野上友一監督(53)も穏やかな表情ながら「大きなケガ人もいないし、チーム状態は大丈夫。相手はどこになるか分からないが、どんなタイプのチームと戦っても対応できる」と自信をみなぎらせる。

 常翔啓光学園との大阪第2代表決定戦は、チームの理想型と言える戦いぶりだった。FWもBKもお構いなしに、ひたすら攻撃的にボールをつないで10トライ。今夏初めてニュージーランドに遠征した時、野上監督は「日本と違って、空いていたらどこからでもボールを回して攻めるラグビーに驚いた」。そのスタイルを積極的に採り入れた結果だった。

 メンタル面の強化も怠らない。9月には復興支援のため仙台育英に遠征し黒沢尻工、金足農など被災地の高校も交え練習試合を行った。試合前にはいまだ大震災の爪痕が残る被災地を訪ね、背中に「頑張れ仙台育英

 黒沢尻工」とプリントしたTシャツも贈った。指揮官は「選手たちはあの時、ラグビーができる幸せを痛感したと思う」と言う。

 くしくもその仙台育英と初戦で当たる可能性があるが、野上監督は「どこが来ようと、やっつけないといけない」と言い切った。5人の高校ジャパン候補を擁する“常勝軍団”の見据える先は、あくまで1月7日の決勝…。そして常翔学園としては初となる16年ぶり5度目の頂点だ。【中上博】