<高校ラグビー:仙台育英50-12コザ>◇28日◇1回戦◇花園
仙台育英(宮城)がコザ(沖縄)を下し、大きな1勝を挙げた。選手は「全国の友にありがとう」とメッセージが入ったジャージーを着込み、グラウンドで躍動。全国から届いた支援への感謝を胸に7トライを挙げた。2回戦は、明日30日に行われる。
感謝の1勝は、泥くさくもぎ取った。大差がついた後半ロスタイム。気が緩みがちな状況だったが、コザの連続攻撃を鋭いタックルで寸断し、1歩も前に出さない。耐えること4分、こぼれ球をSH兵頭水軍(2年)が拾い、チーム7つ目のトライで締めた。CTB佐々木健太主将(3年)は「しつこくタックルにいけば、チャンスは生まれる」と胸を張った。
震災後、全国から数々の支援物資が届いた。スパイク、義援金…。選手は自発的にボランティア登録し、支援活動に従事。4月25日の練習再開後は、楕円(だえん)球を抱え、全力で突っ走ってきた。この日の観客席には、全国への感謝の意を表し、ラグビー部としては異例の約300人の大応援団が駆けつけた。
花園では、感謝の思いを全身で表現する。ジャージーの背中には「全国の友にありがとう」とメッセージを込め、お笑いコンビのサンドウィッチマンから託された「東北魂」の3文字を入れた。仙台商ラグビー部OBで、3月11日に気仙沼で被災した2人が11月にグラウンドを訪問。選手は、花園での奮闘を約束していた。丹野博太監督(46)は言う。「感謝するためにここに来た。勝ち続けたい」。
2回戦で戦う常翔学園(大阪第2)は、9月の復興支援試合で対戦。その際に「がんばれ
仙台育英」とプリントされたTシャツを渡された。この日、1T6G1DGと活躍したSO佐藤拓実(3年)は「ありがたかった。でも、試合では全力でやるだけ」。相手は優勝候補だが、臆することなくぶつかっていく。勝つことが、最高の恩返しだから。【今井恵太】