<高校ラグビー:国学院栃木67-3浜松工>◇30日◇2回戦◇花園

 浜松工(静岡)の挑戦が終わった。1回戦で花園初勝利を挙げた浜松工がAシード国学院栃木に完敗し、県勢9年ぶりの3回戦進出を逃した。前半から相手のパワーと素早い展開力に翻弄(ほんろう)され、大量リードを許した。要所で鋭いタックルを見せるなど、最後まであきらめない姿勢を見せたが、FB小杉未来主将(3年)が決めたPGの3点に終わり、トライを奪えずに力負けした。

 大量リードを許しても、最後まで足は止めなかった。試合終了間際にNO8加茂恒二(3年)は脳振とうを起こす捨て身のタックルを見せた。全国屈指の強豪校相手に誰ひとり気後れすることはなく走りきった。試合後、木下清道(きよのり)監督(37)は「うちの低いタックルはできていたと思う。みんなよくやってくれた」とグラウンド脇で号泣する選手たちをねぎらった。

 ただ、力の差は歴然だった。前半7分に中央のモールから右に展開され先制トライを奪われると、その後も流れるようなパス回しについていくことができなかった。キックでエリアを取る戦略だったが、キックは短く、終始押し込まれる展開。後半6分には自陣でのキックをチャージされ、そのままトライを許した。攻め手がなくなり、本来の「つなぐラグビー」に切り替えても、相手ディフェンスを崩せず。PGで唯一の得点を挙げたFB小杉主将は「どんな形でも得点したかった。相手は初戦で緊張していると思っていたけれど…。その部分もつけなかった」と、肩を落とした。

 完敗だったが、1回戦では快勝し、創部61年目で悲願の「花園1勝」を成し遂げた。プロップ住吉健太(3年)は「全国で勝てたことは大きい。悔いはない」。SO西岡敏(2年)は「全国のトップレベルを肌で感じることができた。来年につながる」と雪辱を誓った。大会2試合でメンバー入りした1、2年生全員が試合に出場。先輩たちの悔し涙を見た下級生が、経験を糧に再び花園に戻ってくる。【神谷亮磨】