<バレーボール・全日本高校選手権:盛岡女2-0就実>◇6日◇女子2回戦◇東京体育館
大会初戦の盛岡女(岩手)は、就実(岡山)をストレートで下し、チーム記録に並ぶ全国16強を決めた。津波で肉親を失った選手もいるチームは、被災地・岩手の思いを背負って奮闘。接戦を制し、復興への起爆剤になる気概を示した。
盛岡女が、過去優勝1回、準優勝2回を誇る就実に気後れすることなく、真っ向勝負で競り勝った。第1セットは、20点目に追いつき、173センチの長身セッター細川絢加(2年)のブロックなどで突き放した。第2セットは逆に20点目に追いつかれ、24-21から1点差まで詰め寄られたが、左利きライト関口祥子(3年)の右アタックで勝負を決めた。シード校同様、2回戦からの出場。伊藤崇博監督(38)は「チャンスを生かさなければ、もったいない。20点目からはミスを最小限に抑えられた」と勝因を掲げた。
粘り強く拾ってつなぎ、相手ミスも誘った。最後まで諦めないチーム一丸の“絆のバレー”を実践した。陸前高田市出身の控えリベロ村上綾菜が津波で弟を失うなど、チームは悲しみを背負う。県決勝は、高田にストレート勝ちして代表権を得た。高田の関口美希主将と小友夏希と、昨秋の国体でも一緒だったレフト戸館希恵主将(いずれも3年)はこの日朝、2人から「私たちの分まで頑張って」と激励メールをもらった。戸館主将は「(震災から)年が変わった大舞台で結果を出して、いい報告がしたい。(復興に向けて)スタートを作りたい」と岩手代表の気概を示した。
チーム記録の全国16強に並んだ。今日7日の3回戦の相手は04年の全国選抜大会で8強入りを阻まれた八王子実践(東京)だ。今年は「記録も歴史も変える」がチームスローガン。伊藤監督は「岩手の代表で来ているので」と白星を積み重ねて被災地を元気づけるつもりだ。【佐々木雄高】