<全国高校バスケット選抜優勝大会:北陸80-66札幌日大>◇27日◇男子準々決勝◇広島グリーンアリーナ
札幌日大(北海道)は北陸(福井)に敗れ、男子道勢初のベスト4進出はならなかった。2本柱の高橋耕陽(3年)、三井啓史(3年)がともに19得点を挙げる活躍を見せたが、序盤の失点が響き、一昨年の覇者に1歩及ばなかった。
試合時間残り1分。コートを転がるルーズボールに、高橋耕、安孫子創(3年)、高橋裕作(2年)の3人が、転がるようにして飛びついた。14点差。残り時間での逆転が厳しいと分かっていても、走り抜いた。「自分たちが3年間やってきたのは走ることだけ。後輩たちに、それだけは伝わったと思います」と、三井が悔しそうに、それでいて満足そうに言った。
第1クオーター(Q)の11点差が、試合を決定づけた。「会場の雰囲気にのまれました」と、高橋裕は唇をかんだ。気持ちだけが高ぶり、強引な突破とシュートを繰り返し、ペースを北陸に渡した。第2Q以降の差はわずか3点。兄の高橋耕は、「僕がもう少し周りを使っていれば…」と、敗戦の責任を背負い込んだ。
それでも長野雅男監督(62)の就任とともに始まったチームが、わずか2年半で道勢最高位タイの全国8強まで上り詰めた。「文武両道だけを考えてきた」という指揮官の下、高橋耕は日大、佐藤智也(3年)が早大、三井は明大に進学を決めた。3人が関東大学リーグで学業を続けながら火花を散らす。「来年の彼らの成長も楽しみです」と、長野監督が目を細めた。
今年5月の日大フェスティバルで30点以上の大差負けを喫した北陸との差は詰まった。来季は4強以上が期待される。「来年はセンターコートで勝って、ベスト4をプレゼントしたい。それがここまで連れてきてくれた兄と、素晴らしい先輩たちに対する恩返しです」と高橋裕は力強く言った。