<バレーボール・全日本高校選手権:星城3-1大塚>◇13日◇男子決勝◇所沢市民体育館

 星城(愛知)が大塚(大阪)を3-1で破り、4大会ぶり2度目の優勝を果たし、高校総体、愛知選抜で出場した国体に続き、高校3冠を達成した。

 2年生中心のチームを3年生が支えての快挙だった。有利と見られた下馬評通り第1セットを先取したものの、第2セットを今大会で初めて失うと若いチームはプレッシャーからリズムを乱した。取り返した第3セットも序盤は相手にリードを許す苦しい展開だった。第4セットも終盤までシーソーゲーム。24-24から2年生の武智のスパイク、最後は2年生エース石川がサービスエースを決め、粘る相手を振り切った。

 会見場に並んだ選手18人に3年生は4人だけ。だが、高校3冠の立役者の1、2年生からは3年生への感謝の言葉ばかりが続いた。ピンチサーバーとして登場した主将の横井玲央(3年)は「試合に出られない3年生が見えないところで1、2年生をケアしてくれた。(練習の)球出しでも強いボールを打って、(3回戦で対戦した)東福岡の佐々木に力負けしなかった。3年生が2年生に負担をかけないように頑張ってくれた」と、同期の力を最大限にたたえた。

 竹内裕幸監督の方針で、試合に出られない3年生たちに下級生の指導を任せた。ユース代表でチームを離れる監督に代わり、3年生たちがチームの練習を見て、毎日ミーティングをして、チームの問題点を探した。国内トップクラスの2年生に対しては、普段から密に接している「担当者」を置き、アドバイスに反発させることなく前向きに受け止めさせるにはどうするべきか考えた。裏方に徹する悔しさより、チームという家族の兄貴としての役割を全うした。

 竹内監督は「教えないことがテーマ。言い過ぎては伸ばせない」と話した。高校生が自分たちで課題を発見し、考え、バレーに心から興味を持つことをうながす。3冠を達成した強さは、選手自身の育つ力を最大限に生かしたことから生まれた。