<高校総体:競泳>◇18日◇男子200メートル自由形決勝ほか◇新潟・長岡市ダイエープロビスフェニックスプール
男子200メートル自由形で小松巧(静岡・飛龍3年)が頂点に立った。最後の50メートルで後続を引き離し、静岡県高校新で自己ベストの1分49秒90でゴール。目標だった48秒台は逃したが50秒の壁を破った。静岡県勢では10年の女子100メートル平泳ぎの杉山沙侑南(静岡・日大三島)以来2年ぶり、同種目では02年の松本尚人(静岡・沼津学園=現飛龍)以来、10年ぶりの金メダルになった。
最初の50メートルは3位だった。「前半は接戦。焦らないように」。自分に言い聞かせるとペースを崩さずに100メートルを2位でターン。150メートルでトップに立つと一気に加速した。「強い選手が勝負できるのがラスト50メートル。自分がどれだけ勝負できるか限界にチャレンジしたかった」。後続をぐんぐん引き離し、1分49秒90でゴール。自己ベストを0秒84更新した。「48秒台を目指していたけど、50秒の壁を破れたのはうれしい」。前日の400メートル自由形は2位。初の金メダルに「銀の3倍ぐらい重いですね」と笑みがこぼれた。
スタートで見せる「NO・1ポーズ」は、主将の小松がチームの決めごとにした。「支えてくれる人に感謝」「NO・1の誓い」「どんな時も笑顔」の意味だ。中学卒業後、千葉の実家を離れ寮生活を送った。両親は「自分の進みたい道に行けばいい」と後押しした。5人の五輪選手を輩出した名門で、杉山康監督(55)の下、少ないストローク数と低い心拍数の泳ぎを磨いた。苦手のターンも克服した。昨年の同大会は、直前の発熱で予選落ち。「悔しい思いをしたから今の自分がある。寮生活を通して泳ぎ以外に人間的にも成長できた。両親や先生に最大限の恩返しができた」。
同年齢にロンドン五輪銅メダリストの萩野公介(栃木・作新学院)、平泳ぎで好記録を出した山口観弘(鹿児島・志布志)らがひしめき「萩野世代」と言われる。「萩野選手は今回は出てないけど200も速い。その中で50秒を切らないと申し訳ない気持ちだった。僕も萩野世代に入って日本を支えたい」。
22日からはジュニアパンパシフィック日本代表としてハワイに出発する。初の代表で、7月末の合宿では山口らの自発的なトレーニング姿勢に刺激を受けた。「自分の限界に挑戦することが強くなる秘訣(ひけつ)。日本のために泳ぎます」。世界での勝負に挑む。【岩田千代巳】
◆小松巧(こまつ・たくみ)1994年(平6)8月24日、千葉県船橋市生まれ。4歳から水泳を始める。千葉・三田中で全国中学総体の200メートル自由形で6位。飛龍に進学し、県高校総体では200メートル、400メートル自由形で3年連続2冠。力を付けて臨んだ昨年の高校総体では直前に体調を崩し、200メートルで1分53秒53、400メートルで3分59秒62でともに予選落ち。今年6月の浜名湾高校水泳で200メートルで1分50秒74の県高校新で優勝。400メートルでは今大会で3分51秒32の県高校新を樹立し2位。171センチ、血液型O。