<全国高校総体:水泳>◇20日◇福岡県総合プール◇男子高飛び込み

 浜松修学舎(静岡)の大塚千誠(3年)が念願だった高校日本一に輝いた。予選では1人別次元の高得点をマークする完璧な演技を披露。決勝も大きな崩れもなく、600・80点で圧勝した。

 大塚にやっと笑顔が戻った。金メダルに加え、得点制で争う学校対抗でも準優勝の表彰を受けた。「うれしいです」。流れる汗は心地よかった。

 18日の3メートル板飛び込みでは2位で予選通過も決勝は失速。「けっこうショックだったので、気分転換しました」。博多の街に出かけ気持ちを新たにした。試合前夜も「ぐっすり眠れました」とこの日の高飛び込みへの意識は万全だった。

 予選は6種類の飛び込みだったが、いずれも高得点をマークした。今春から取り組んでいる6243D(後ろ倒立2回転、1回半ひねり自由形)も67・20点をたたき出した。3種目を終え200点を突破し、観戦していた他校のコーチ陣からは「残りはパスしてもいいぐらいだ」という声も聞こえてきた。精度を上げることに取り組んできた成果が表れていた。

 同じ失敗は繰り返さない。前回は予選から決勝まで3時間以上時間が空いた。今回は休養、練習で1時間半ほど。いい緊張感を持続できた。野村孝路コーチ(53)は「練習時間が限られているなかでよくやったと思う。90%合格だと思います」と話した。6243Dも68・80点。試合で決まったことがないという5253B(後ろ2回転半、1回半ひねりえび形)の72・00点で締めくくった。

 演技だけではない。合宿では臼井博文メンタルトレーナーの講習を受け、精神的にタフになった。大塚は「プレッシャーにも強くなった」と感謝を忘れなかった。

 今後については、ジュニアオリンピック、国体を経て東アジア大会に出場する。「世界につながっていくように」と大塚の視線は先にある。日本一の喜びは、世界への挑戦の始まりだ。【加納慎也】