<全国高校総体:水泳>◇3日目◇19日◇千葉県国際総合水泳場
男子1500メートル自由形で、磐田農(静岡)の戸崎祐(たすく=2年)が15分24秒66の県新記録で初優勝を飾った。決勝では猛練習で強化したスタミナを武器に得意の後半でトップに立つと、そのままリードを守り、2位に8秒以上の差をつけて圧勝した。県勢の同種目制覇は04年の上西秀長(藤枝東出)以来、10年ぶり。
最後は独壇場だった。450メートル地点で2位に浮上した戸崎は、トップだった仲家槙吾(八王子3年)をピタリとマーク。950メートルのターンでとらえると、一気にギアを上げた。「持ち味の後半」(戸崎)で徐々に差を広げ、残り300メートルから独走態勢へ。残り25メートルで最後のスパートをかけ、悲願の優勝を飾った。
掲示板を確認した戸崎は声援を送り続けてくれた応援席に向かってガッツポーズ。優勝インタビューでは「てっぺんを取るために1年かけて頑張ってきた。本当によかった」と声を張り上げた。昨年は1年生ながら決勝進出も、8人中最下位でフィニッシュ。そこからリベンジに向けた猛練習の日々が始まった。
週6日の練習は毎日8000~9000メートル、多い日には1万メートルを泳ぎ込み、徹底的にスタミナを強化した。7月の東海総体後も同様のメニューを消化。大会直前まで体を追い込んだ。「つらくて何回もやめたかった」と苦労もあったが、目標だけは失わなかった。
普段は農業高校に通い、1年時にはレタスや白菜、スイカなどの野菜を栽培した。今年も体を使うことが多く「外の授業は楽しい」と学校での実習がいいリフレッシュになったという。つらい練習を乗り越えてつかんだ初優勝だからこそ、喜びも大きかった。
来年は追われる立場となるが、戸崎は「大会記録の(15分)15秒台を切って来年も優勝したい」と堂々の連覇を宣言。長距離の次代を担うホープは、さらに進化して全国舞台に戻ってくる。【神谷亮磨】