2002年に女性指導者初の全国制覇を成し遂げた第一生命・山下佐知子監督が、2度目の栄冠を狙っている。東日本予選は1区の勝又美咲(24)、3区の尾崎好美(29)、5区の野尻あずさ(28)と主要区間で好走し、きっちりと勝ちきった。それでも山下監督は「東日本は通過点。結果をしっかり分析し、全日本に臨みたい」と、気を引き締めた。

 注目は大型ランナーの勝又。今や日本代表クラスの選手と渡り合えるまでに成長した。山下監督は前回に続いて勝又をエース区間の3区に指名。勝又は「昨年は渋井さんや中村さんに抜かれてしまいました。今年は一緒に走れるくらいにレベルを上げたい」と意気込む。

 5区候補の野尻は距離スキーから転向して3年目で、まだまだ伸びる逸材。前回の全国大会で4区区間賞の垣見優佳(24)、東日本予選6区区間賞の田中智美(22)、8年前のVメンバーである安藤美由紀(30)と、エース以外の区間も選手層が厚い。

 唯一の不安材料は昨年の世界陸上マラソン銀メダルの尾崎の動向。中国合宿中に転倒して右ヒザを痛め、メンバー入りできるか微妙な状況だ。もっとも、その尾崎でさえ「駅伝では別格ではない」(山下監督)という点に第一生命の強さがある。尾崎が間に合っても、好調の田中が1区に起用される可能性も十分ある。また尾崎が出場できなくても「優勝をあきらめることはない」と言い切るほど、山下監督はチームの総合力に手応えを感じている。