【パリ22日=今村健人】世界を制するのは、どっちの背負い投げか。柔道世界選手権は今日23日、開幕する。初日に迎える女子48キロ級は、世界ランク1位で2連覇に挑む浅見八瑠奈(23=コマツ)と、同2位で2年ぶり優勝を目指す福見友子(26=了徳寺学園職)が登場。背負い投げを得意技とする両雄はこの日、本番会場で調整。新たに体得した“新背負い投げ”で一本を奪い、世界の頂点に立つのは果たして…。

 最後までこだわったのは、背負い投げだった。浅見と福見。初日に登場する2人が本番会場のベルシー体育館練習場で、最後の練習に励んだのは、得意技だった。「自分の練習は終わった。あとは明日を待つだけ」と福見が言えば、浅見は「明日、背負い投げで一本を取れたら一番うれしい」。決戦の舞台は整った。

 ともに柔道人生で最初に身に付けた技が「背負い投げ」という新旧女王。だが、特徴は似て非なる。「背が低い分、潜り込み、動きの中から技を出すのが浅見。福見は上背があり、相手の動きを止めて仕留める」と日蔭コーチ。両雄はその特徴を生かすべく、今大会前に改良を仕掛けてきた。

 ★浅見

 相手のふところに飛び込み、両膝をつく背負いに挑む。「背負い落としに似ている。その場で体を回していけて、はまれば一本が取れる」。所属するコマツの松岡監督が得意とした技で、背の低さを逆利用した。

 ★福見

 基本は左の背負いが軸だが、右から「一本背負い」も仕掛ける。さらに、従来の180度反転ではなく、1回転近く回って反対方向に倒す背負い投げも、懐に仕込む。「どれもあれば、相手も防ぎようがないはず。幅が広がればいい」。

 世界選手権、五輪を合わせて過去22度の世界大会で11個の金メダルを獲得してきた、日本のお家芸の48キロ級。「絶対に負けられない階級」と自身に言い聞かせる浅見に、福見も「来年のロンドン五輪に向けて、大きな意味がある大会」。浅見と福見。鮮やかな背負い投げで、金メダルを間近で見るのは、どちらか。