<柔道:世界選手権>◇最終日◇1日◇リオデジャネイロ◇男女団体戦
全日程を終えた2日、男子60キロ級を制した高藤直寿(20=東海大)が来年の全日本選手権に出場する意向をみせた。66キロ級の海老沼匡(23)、73キロ級の大野将平(21)の「金メダルトリオ」で取材に対応。今大会の優勝の資格で推薦され、無差別で戦う日本一決定戦へ「かきまわしたい」と意欲満々だった。前日1日に行われた最終日の団体戦では男子は銅メダル。個人戦では22年ぶりの金メダルゼロに終わった女子は、地元ブラジルとの決勝戦を3-2で制した。
冬なのに太陽がさんさんと照りつけるリオのビーチを横目に、高藤はなぜか危機感でいっぱいだった。「このままでは消えてしまう…」。初出場ながら、初日の登場で金メダルを取ってから1週間。その後は会場で応援を続けていたが、続いた海老沼、大野とも一本勝ちで優勝。「日本らしい柔道で一本取って、どんどん自分の存在が薄れていった…」と焦りが募ったらしい。
根っからの目立ちたがり屋。「自分も日本らしい柔道をしないと連覇は難しい」と早くも気を引き締めながら、考えるのは日本に帰国してからのこと。頭にあるのは全日本選手権に出ることだ。毎年春に開催される、無差別で日本一を争う伝統の大会。当然、重量級の選手が居並び、最軽量級の出場はまれだが、「出ます。かきまわしたい」。話題をさらう気まんまんだ。
優勝で簡易投稿サイトのツイッターのフォロワーも約600人増えた。ご満悦な様子で「(タレントの)武井壮さんにも『メシだ』と言ってもらえた」とニッコリ。帰国後にしたいことは「日本食を食べる。ラーメンを気持ち悪くなるくらい食べる」ことだという。ラテンの国の戦いに「自分に合ってると思いますね」という陽気な20歳。3年後のリオ五輪で最も「目立つ」ため、野望はつきない。【阿部健吾】