＜高校ラグビー：東福岡３１－３１桐蔭学園＞◇決勝◇８日◇花園

　前回覇者の東福岡（福岡第１）は桐蔭学園（神奈川第２）と引き分け、２大会連続３度目の優勝を飾った。両校優勝は昭和天皇崩御で決勝中止となった８８年度以来で史上４度目。引き分けでの両校優勝は４７年度の秋田工－函館市中（６－６）以来６３年ぶり。

　時計掲示は後半２９分を表示していた。王者の意地だった。敵陣ゴールライン間際のラックから右へ東福岡ＳＯ大政（３年）がパスを受け、インゴールへ駆け抜けて中央へトライ。キッカーＦＢ藤田（２年）がゴールを決め同点。とうとう桐蔭学園をとらえた。

　スピードに乗った桐蔭学園の攻撃に守備を乱されてミスを連発。波に乗れず最大２１点差あけられたが、平均体重で約６キロ重いＦＷを前面に出して反撃。後半７分、２４分とトライをあげて追い上げた。大政は「ＦＷが頑張ってくれた。みんなはありがとうと言ってくれたけど、僕がみんなに感謝したい」。昨夏右ひざの靱帯（じんたい）を切る大けがを克服した男が言った。

　連覇を目指して出発したチームは選抜大会で連覇した。しかし、夏の菅平合宿で桐蔭学園に８トライを決められ大差で敗戦。国内唯一の黒星をつけられた。「そこから次につながっていきました。ライバルがいるから、ここまで力を伸ばしてもらえる」と、谷崎監督はライバルに感謝した。

　目標は海外の強豪が集まる大会「サニックスワールドユース」で頂点に立つこと。「世界一になることを本気で考えています」と谷崎監督。チームの愛称「フェニックス」のようにさらに強く、高く羽ばたいて行く。【前田泰子】