<高校ラグビー:東海大仰星19-14桐蔭学園>◇決勝◇7日◇花園
東海大仰星(大阪第1)が、7大会ぶり3度目の頂点に立った。同じAシードの桐蔭学園(神奈川)に勝利した。2大会前の決勝は東福岡(福岡)に敗れて準V、前回大会は大阪府予選決勝で敗れ、花園連続出場が7年連続でストップ。悔しさとOBの思いを背負い、日本一になった。大阪勢は前回大会の常翔学園に続き、2大会連続18度目の制覇となった。
東海大仰星が耐えしのんで日本一をつかんだ。1トライ差で上回っていた後半22分、自陣ゴール手前のスクラムからボールを蹴らず、パスをつなげて左へ展開し、敵陣へ攻め込んだ。後半28分には敵陣25メートルの右ラインアウトからモールで3分間耐えた。ロスタイムにターンオーバーを許したが、取り返して終わらせた。
フランカー野中主将は「すべての過程が日本一だったことを示せた」。ちょうど1年前の1月7日からすべてが始まった。前回大会決勝の常翔学園(大阪第1)対御所実(奈良)をスタンドから観戦。大阪府予選決勝で敗れた相手、常翔学園の優勝を目の当たりにした。野中主将は「僕は目を背けてしまった。『何でここに座ってんねん』と思った」。
この1年、ディフェンスの強化を図った。就任1年目の湯浅大智監督(32)は「前のチームは得点を重ねたが、トライを上回る失点で負けた」。守備には以前より2倍の時間を割いた。攻撃50日で守備50日とすれば、このチームは30日と70日の割合。しかしアタック時間は削られず、相手の選手が攻撃練習を兼ねることができた。
優勝の瞬間、野中主将はスタンドで涙を流しながら笑顔を見せる人たちの姿を見た。「優勝のあの瞬間の感動を味わわせたい。感動できる人間になって人生を歩んでほしい」(湯浅監督)。日本一に立って初めてその思いが届いた。【辻敦子】