<高校ラグビー:東海大仰星19-14桐蔭学園>◇決勝◇7日◇花園
東海大仰星(大阪第1)が7大会ぶり3度目の頂点に立った。同じAシードの桐蔭学園(神奈川)に勝利。2大会前の決勝では東福岡(福岡)に敗れ準V。前回大会は大阪府予選決勝で敗れ、7年連続で出場していた花園の舞台にも立てなかった。悔しさとOBの思いを背負い、日本一に。大阪勢は前回大会の常翔学園に続き、2大会連続18度目の制覇となった。
湯浅大智監督(32)の表情が崩れた。喜ぶ教え子がいた。恩師の土井総監督と抱き合った。「子どものひたむきさに感動してしまった」。家では踊って子どもを笑わせようとする男が準決勝まで笑みすら見せなかったのに…。せきを切ったように、ポロポロ泣いた。
監督になるつもりはなかった。人と向き合うのが好きで「将来は服屋とか飲み屋をしたかった」というが、そこは東海大仰星初優勝時の主将。「指導力、束ねる力、人柄」にほれた当時の土井監督に「東海大に行って、体育の先生になれ」と外堀を埋められた。それでも、大卒後の進路で伊勢丹に内定をもらった。
教育実習で人生が変わった。母校で1カ月、授業、コーチをした。「こんなにおもろいんか。熱いんか。もう教師しかないがな」。恩師の敷いたレールにまんまと乗って母校に戻った。
「東海大仰星ラグビー部監督ではなく、部活の監督です」。ラガーにふさわしい人柄を持つ大切さを教えたい。9年間のコーチを経て、昨春監督に。就任9カ月で頂点に立った。偉大な恩師の後を受けても「いずれは、と思っていたので」と重圧もブレもないが、少し悩みがある。まだブレザーを1着も持っていない。「ラグビーの監督いうたら…。妻と相談せんとなあ」と笑った。【加藤裕一】
◆湯浅大智(ゆあさ・だいち)1981年(昭56)9月8日、大阪市生まれ。中野中1年からラグビーを始め、東海大仰星の主将で79回大会(99年度)の初優勝を経験。東海大卒業後、東海大仰星で9年間コーチを務め、昨春監督就任。現役時代はフランカー。保健体育科教諭。家族は妻祥子さん(32)と娘2人。