<水泳世界選手権:競泳>◇31日◇上海
日本が獲得したメダル数は6個だった。大会前に掲げた「金含む5個以上のメダル」という目標。数の上ではクリアしたが、五輪出場の内定条件とした肝心の金メダルはゼロ。ロンドン切符は誰もつかめなかった。上野広治総監督は「結果的に負けたような気分になっている」。過去と比べても、決して遜色はない。ただ、大会に花を添えるべく「金」がなかった。
この10年、日本競泳界をけん引してきたのが北島康介だ。過去の大会で金メダルを獲得した選手は北島、古賀の2人だけ。今回は入江が新エースと期待されたが現実は厳しかった。顕著な例が200メートル背泳ぎ。ロクテの泳ぎについて行けず、50メートルのラップ4本とも奪われての完敗。道浦コーチは「泳ぎの技術だけでは足りない。スタート、ターンのバサロに取り組みたい」と話した。
海外の強敵と伍(ご)するためには、前半から突っ込み、泳ぎ切るパワーと持久力、そして強い精神力が求められる。よりハードな陸上トレーニングも必要だろう。これは入江に限らず、大半の日本人に当てはまる。平井ヘッドコーチが「金メダルを取るための目標タイムの設定が甘かった」と反省したように、もう1つ上のレベルを追求する強い姿勢が望まれる。
「来年の五輪で金メダルに一番近いのは北島の200」。上野総監督の言葉通り、「北島頼み」の状況はいまだに変わらない。【佐藤隆志】