<バレーボール:全日本高校選手権:浜北西2-0土浦日大>◇初日◇女子1回戦◇5日◇東京体育館

 2年連続13度目出場の浜北西(静岡)が「新・春高バレー」で県勢初勝利を挙げた。土浦日大(茨城)と対戦し、先取した第1セット(S)の勢いのまま第2Sは逆転し、ストレート勝ちした。今回から開催方法が変更し出場可能となった3年生トリオが原動力となって、「春高バレー」としては同校24年ぶりの白星となった。6日には、東海大三(長野)と対戦する。

 勝利のあいさつをしに浜北西スタンドへ向かうと、喜びは涙に変わった。3年生が8人からわずか3人となって迎えた大会。応援席と一緒になって校歌を歌い上げると、市川栞奈主将(3年)が流れる涙をぬぐった。平松可愛と山本望は辞めていった3年生が駆けつけ泣いている姿を見て、涙をこらえきれなかった。山本は「引退した5人も泣いていて、すごい感動して泣いちゃいました」と目を潤ませた。

 3年生トリオが、大きな勝利を呼び込んだ。勝利への道は山本のスパイクから始まった。リードを許す展開となっても市川のサービスエースが決まる。平松もスパイクで突き放し、勢いは増していった。「最初に出た方がいけると思っていたので、攻めの気持ちを持って波に乗れた」と市川は笑顔で快勝を振り返った。

 開催方法変更に伴い決断が迫られた。例年、夏の総体で引退する3年生も出場可能となったが、ほとんどの選手は辞めていった。それでも西尾哲也監督(43)が、国体に県代表として選ばれていた3人に声をかけ、現役を続行。「3人で悩んで、苦しいときもあったけど、この舞台で勝ちたいという思いが3人にはあった」と市川は胸を張った。

 その3人がもたらした春高バレーでは同校24年ぶりとなる勝利は、次なるステージへつなげた。春高での2勝は今まで1度もない。「次も勝ってまた喜びたい」と山本。3人の英断が、同校の歴史を塗り替える。【栗田成芳】