<バレーボール:全日本高校選手権:不来方2-1崇徳>◇2日目◇男子2回戦◇6日◇東京体育館

 不来方(岩手)が崇徳(広島)をフルセットの熱戦の末に破り、ベスト16に進出した。インターハイでストレート負けした相手に雪辱。岩手勢男子の全国大会最高成績タイに並び、次は新記録のベスト8を目指す。

 不来方が死闘を制した。第1セットはセットポイントを奪われたが追いつき、連続ジュースの末、28-26で先取。第2セットを2点差で取られたあと、第3セットは21-22から逆転した。勝利の瞬間、選手たちは感極まった表情で雄たけびを上げた。

 崇徳には昨年のインターハイ予選グループ戦でストレート負けした。その後8強入りした相手と再戦が実現。「インターハイでは第1セットを取られたあと、足が動かなくなっていた。今日はよく落ち着いて、粘り強いレシーブからつなぎ、切り返してくれた」と小林利勝監督(42)は選手をたたえた。

 要所でスパイクを決め、勝利に貢献したのがレフト藤村奏(そう=2年)だ。身長172センチながら、垂直跳びはチーム一の85センチで、最高到達点は325センチ。抜群のジャンプ力と柔らかい体のしなりで、威力のあるスパイクをたたき込んだ。小林監督は「神がかりです。いざという時に決めてくれる」と評した。

 藤村は「インターハイでも圧倒されたわけじゃないので、今度こそと思っていた」と話した。ジャンプ力をつけるため、円陣で小林監督の話を聞く時など、常につま先立ちしてきた。「目標はベスト8。どこも格上なので、挑戦者として全力でぶつかる」と力を込めた。

 岩手勢男子では03年春高の盛岡南以来の16強入り。他の全国大会でも昨年国体の不来方を含め16強止まりだ。不来方が壁を破り、岩手男子バレーの歴史をつくる時が来た。【北村宏平】