<バレーボール:全日本高校選手権:古川学園2-0下北沢成徳>◇3日目◇女子準々決勝◇7日◇東京体育館
92年バルセロナ五輪バレーボール男子代表の大竹秀之氏(43=解説者)の長女、大竹里歩(2年)を擁する下北沢成徳(東京)が、準々決勝で古川学園(宮城)にストレート負けを喫した。里歩は184センチの長身から真っ向勝負を挑んだが、高校総体、国体に続く3冠を狙う優勝候補の分厚い壁を破れなかった。チームを8年ぶりの頂点には導けなかったが、将来の日の丸候補として才能の片りんは見せた。
父秀之氏が見守る前で、里歩は真っ向勝負を挑んだ。184センチの長身で最高到達点は3メートル。相手ブロックに当てながらはじき飛ばす。身長208センチで「アジアの壁」と呼ばれた父譲りのスパイクは、しっかり引き継がれていた。しかし相手の分厚いブロック、粘り強いカバリングに苦戦。第1セットを9-25と落とすと、第2セットも接戦ながら19-25と逃した。
期待されたスパイクでのポイントは6点止まり。それでも里歩に涙はなかった。父から「真っ向勝負しないでコースに打ち分けろ」とアドバイスされたが、自分の力を信じてスパイクを打ち込んだ。だからこそ「やれる、という手応えをつかんだ。2年生主体なので来年が楽しみ」とすっきりした表情で言い切った。
92年バルセロナ五輪の翌年に誕生。「大きな里を自らの足で歩んでほしい」という願いから「里歩」と名付けられた。父に続く五輪出場の思いを胸に秘める。そんな娘に対し、父秀之氏は「順調なプロセスを歩んでいる。将来は日の丸を背負ってほしい」と期待を込める。自宅に戻れば、食卓でのバレー談議が日課だ。父は「コテンパンにやられて、いい経験になったでしょ」。里歩は敗戦とともに成長の糧もつかんだ。【佐藤隆志】