<バレーボール:全日本高校選手権:東九州龍谷3-1古川学園>◇最終日◇女子決勝◇9日◇東京体育館

 女子の古川学園(宮城)は東九州龍谷(大分)に逆転負けし、99年以来2度目の高校3冠を逃した。先発アタッカーの平均身長で約5センチ上回る高さを生かして第1セットを先取。だが、第2セット以降は警戒していたはずの高速バレーに対応し切れず、昨年までの全国選抜の決勝で3連敗を喫した相手に、またしても屈した。

 大粒の涙が止まらない。古川学園が高校3冠達成を目前にして力尽きた。10点ビハインドのマッチポイント。すでに敗戦は覚悟していた。だが、相手速攻が決まると選手たちはいっせいに泣き崩れた。「打倒、東九州龍谷」。昨春の全国選抜の同カード決勝3連敗後、すべてはこの日のために練習してきた。昨年の国体決勝はフルセットで逆転優勝。だが、全国選抜に替わって開催された“新春高バレー”での雪辱は果たせなかった。岡崎典生監督(42)は「相手の方が一枚上でした」と完敗を認めた。

 第1セットを高さとパワーで制した。順調な滑り出しと思われたが、徐々に形勢が逆転した。ブロックが決まらなくなり、打っても打っても拾われるスパイク。トスワークも単調になり、相手の粘りにミスも重なり自滅した。

 古川商時代以来となる高校3冠は逃したが、03年の校名改称後初の全国制覇(高校総体と国体)を成し遂げた。特に3年生たちは、最初で最後の全国4大会(選抜、高校総体、国体、選手権)に出場し、すべてメダル獲得につなげた。今春、日立入社が内定しているレフト佐々木美麗主将は「人生で一番の財産にしたい」と笑顔。それぞれ東レとNEC入社が内定しているライト大野果歩とセンター果奈(いずれも3年)の双子姉妹は「ここまで一緒にいたから頑張れた。(卒業まで)後輩たちの力になりたい」と感謝した。チームに残るレフト対角の新エース山田美花(2年)は「ボールだけでなく気持ちをつなぐ大事さも知りました。もう1度この場所に戻ってきてリベンジしたい」と再スタートを誓った。【佐々木雄高】