すっかりドジャースの大黒柱としてチームメートからも、ファンからも愛される大谷翔平。今回、MLB初取材の「ケンケン」こと日刊スポーツ横山健太カメラマンが写真とともにフレッシュな視点でレポートします。
◇ ◇ ◇
7月9日~11日の対フィリーズ戦がフィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークで行われた。この時点でナショナルリーグ東地区と西地区首位同士の対決で注目度の高い試合に加え、フィリーズにはハーパーやウィーラーなどスター選手ぞろいなので大谷とどんな絡みをするのか注目していた。とりわけ一番楽しみにしていたのは人気マスコットのフィリー・ファナティックとどんな交流をするかだ。ちなみに広島カープのスラィリーがとても似ているのは、球団がファナティックをデザインした米国ハリソンエリクソン社にデザインを依頼したところ、ファナティックの「分身・片割れ」というコンセプトで生まれたからだそうだ。
その本家もやはり、とてもいたずら好きで、試合前の練習の際には野手のグラブをこっそり盗んで観客席に投げ込んだり、試合の合間にランチャーを使って観客席にホットドッグを打ち込むパフォーマンスを見せたりする人気者。対戦チームの主力選手に試合前など絡みに行くこともしばしば、23年エンゼルス時代の大谷にも似顔絵を描くなど積極的だ。
初戦の試合前も1番打者の大谷がグラウンドに出るなり、ここぞとばかりファナティックは目の前で腰を振りながら踊り始め、ちょっかいを出しに向かった。さすがに大谷は集中力を高めてるせいか意に介さず素振りを続行、つれない態度に拗ねたようで早々とバギーで走り去っていった。ドジャースに入り、昨年以上に注目度が増したことで、絡みづらくなったのかと見ていて少し残念に思った。
もう絡まないかなと思いながら迎えた第2戦、前日同様、大谷の前に陣取り、服をめくったり舌を出したり、よりアピールをパワーアップし、立ちはだかった! 最終的には無視しきれなかった大谷も目で追って優しげな表情を浮かべていた。もちろんファナティックは相手チームに迷惑をかけたり嫌な思いにさせたりはしていない。こういった行動はビックスターへの敬意(嫉妬?)、感謝と歓迎を意味する行動だそうだ。
何があってもめげず、諦めない行動やファンを楽しませる姿、プロマスコット根性に勇気をもらった瞬間だった。【横山健太】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ケンケンのWEEKLY SHO!Time!!」)