すっかりドジャースの大黒柱としてチームメートからも、ファンからも愛される大谷翔平。今回、MLB初取材の「ケンケン」こと日刊スポーツ横山健太カメラマンが写真とともにフレッシュな視点でレポートします。
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7月16日にMLBオールスターゲームがグローブ・ライフ・フィールドで行われた。日本人選手はドジャース大谷翔平とカブス今永昇太が選出され、私も許可が下り撮影に行くことができた。
MLBのオールスターは試合の前日に会見やホームラン競争が行われ、試合当日には開始前にレッドカーペットがあったりと、朝から晩まで盛りだくさんな2日間だった。とりわけ今年は大谷が現地へデコピンを連れて行くと話していたのでレッドカーペットでいっしょに歩いたらと想像し、どんな風に撮影しようかと考えを巡らせているだけでもバタバタだった。結局はデコピンが内側にプリントされたスーツで登場した大谷のお茶目な遊び心に私も引っ掛かってしまった形になった。
さて、いよいよ始まったオールスターでいろいろな大谷を撮影したいと思っても私の体は1つ、どういった作戦で撮影しようかと悩んでいた。そんな時に思い出したのが16年に横浜スタジアムで行われたNPBオールスター第2戦だった。この試合では当時日本ハムの大谷が5回にホームランを放ちMVPに選出された。この日の日刊スポーツの1面で私の写真が使用されたのだが、その記憶がふとよみがえってきた。大谷がホームランを放った際に盛り上がるファンを絡めた全景写真、同じような写真を狙ってみようと決めネット裏にリモコンカメラをセットして試合に臨んだ。内心では大谷は6月に比べて調子を落としていたのでさすがにオールスターという大舞台でのホームランは難しいかなと思っていたのだけども。
大谷の第2打席、私はライトスタンド付近に移動し撮影をしていた。その打席の3球目、打った瞬間に打球を見上げ歩き出す大谷。米国に来て何度もファインダー内で見せつけたられた風景をオールスターでもさらっとやり遂げてしまう凄さを見せつけられた瞬間だった。
そんな試合を撮影できただけでも貴重な経験が出来て喜んでいたのに、試合後に仕掛けていたリモコンカメラの写真を確認した時、また新たな感動が生まれた。大谷がホームランを放った際、立ち上がり手を広げ盛り上がるファンが映り込んだ球場の全景。角度は違えど8年前に撮影した瞬間と同じ風景が写っていた。狙っていたとはいえ8年前と同じ風景を米国で撮影できるとは思わず、ただただ驚いた。日本でも米国でも同じようにファンを熱狂させる大谷翔平の素晴らしさが伝わってくる2枚のセット写真が出来上がった瞬間だった。【横山健太】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ケンケンのWEEKLY SHO!Time!!」)