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復刻:ダル46球斬り日本連覇へ快勝発進

日本、初戦中国戦に完封勝利!
日本、初戦中国戦に完封勝利!

<WBC・第1ラウンド:日本4-0中国>◇5日◇A組◇1回戦◇東京ドーム

 サムライジャパンがダルビッシュで2連覇へ発進した。ダルビッシュ有投手(22=日本ハム)が第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第1ラウンドA組開幕戦の中国代表戦に先発し、46球で予定の4回を無安打に抑え込んだ。格下相手とはいえ、重圧のかかる初戦で重責を果たし、4-0の勝利に導いた。50球未満の球数制限をクリアしたことで第2戦(韓国-台湾の勝者)以降も登板可能となり、勝負どころでのキーマンとして待機する。日本は次戦に勝てば第2ラウンド(米国)進出が決まる。

 ダルビッシュが初戦、完封リレー発進へのレールを敷いた。4回を無安打、1四球の走者を許しただけ。最大の価値は46球という数字。最短で中1日、今ラウンド中の再登板を可能にした。白星とともに、もう1つの命題をクリアした。「緊張してガチガチになってももったいないので、楽しみました」。22歳ながら肝の据わった投球で、理想の青写真を描いた。

 心静かに、仕事に徹した。くせ者リードオフマン孫嶺峰を2球で投ゴロに仕留めて乗った。「初回、ヒット打たれるんちゃうかなと思ったけれど、力を抜いていけた。いつもそうなんで…」。2死からレイ・チャンをカウント2-2から、この日最速149キロの外角速球で見逃し三振。ポイントとにらんだ初回をわずか10球で切り抜けた。4回を打者12人。城島の二盗阻止、イチローの好捕とバックの後押しも受け、役割をまっとうした。

 白星に匹敵する副産物が大きい。3回に待望の3点の援護。不穏な空気もあったが、その後の1イニングを締めた。50球未満で降板できれば、7日以降にまたマウンドへ上がることができる。格下の中国相手の初戦先発には“2役”をこなせる使命も課せられていた。「収穫は50球以下でダルをスイッチさせることができたのが大きい。ダルは日本を代表する投手。日本のエースです」。原監督も絶賛する大仕事だった。

 代表合流後、2度の実戦でいずれも失点。尻上がりに調子は良くなったが、周囲からは不安視する声もあった。松坂からは滑るとされるWBC使用球の扱いについてレクチャーを受けた。高校野球談議に花を咲かせて親交を深め、メジャーリーガーの企業秘密に熱心に聞き入ったという。本番での修正力。球速は150キロ台に届かなかったが、日本球界NO・1右腕と呼ばれる底力だった。

 城島のサインには臆(おく)することなく、首を振った。「配球通りに投げたけれど、自分の投げたいところへも投げた」。信念を貫く部分は、自分を信じる強さを見せた。城島も「ブルペンエースじゃゼニはもらえない。本チャンで制球してくるんだから、さすが」と脱帽。順風満帆な船出へと導いた。

 この日は、紗栄子夫人がスタンドで観戦。同夫人の故郷での宮崎合宿、今回の自宅のある東京と献身的に支え、緊張感で張り詰めた心を癒やしてくれた愛妻へ、何よりの恩返しになった。

 「中1日はどう考えてもないと思うけれど、最後の試合に投げると思って準備する」。ダルビッシュが紡いだ46球は、日本代表の米国行き、世界連覇への“パスポート”につながった。【高山通史】

(3月6日付日刊スポーツ)

 [2009年3月24日15時53分 紙面から]

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