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復刻:原監督が負傷村田に代え栗原招集

韓国破り1位で決勝T進出!
韓国破り1位で決勝T進出!

<WBC・第2ラウンド:日本6-2韓国>◇19日(日本時間20日)◇1組◇1、2位決定戦◇米カリフォルニア州サンディエゴ、ペトコパーク

 サムライジャパンがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝、決勝の「右の大砲」として、栗原健太内野手(27=広島)を緊急補強した。4度目の韓国戦で、村田修一内野手(28=横浜)が「右太もも肉離れ」の負傷。原辰徳監督(50)は即座に入れ替えを決断し、1時間もかからないうちに合流手続きを済ませた。栗原は日本時間21日、米ロサンゼルスへ出発する。日本は韓国を6-2で破り第2ラウンド1組を1位で通過し、22日(同23日)の準決勝で米国と対戦する。

 その瞬間に、ベンチは動いた。サムライジャパンに緊急事態だ。4回表、先頭の村田がサウスポー李承浩からセンター右へのクリーンヒットを放った。だが、一塁ベースを回ろうとしたところで、突然顔がゆがみ、右太ももの裏を押さえた。

 今にも座り込みそうなほどの激痛。緒方一塁コーチが、あわててタイムを要求し、三塁側ベンチに両手をクロスした「×」のジェスチャーを送った。村田は両脇を抱えられながらベンチに下がった。

 村田の負傷離脱が午後7時34分(日本時間午前11時34分)…即座に原監督が動いた。村田はベンチ裏で代表チームとパドレスの2人の医師による診察を受けたが、この時点で、すでに原監督の胸に“もう1人のサムライ”の名前が秘められていた。

 栗原健太を呼んでくれ-。

 村田は「右大腿(だいたい)部肉離れ」でプレー続行は不可能と診断された。

 ベンチで隣にいた篠塚打撃コーチは、原監督の様子について「村田がやった瞬間にダメだと思ったみたいだった。すぐに決めて次に動いた」と証言した。指揮官の意向を聞いた現場スタッフが広島鈴木球団本部長に打診、内諾を取り付け、大会主催側にも了承を得た。あっという間の交代劇。1時間かからないうちに、太平洋を挟んでの入れ替えは決まり、栗原は渡米準備に入っていた。

 原監督は宮崎での合宿で日本代表28人に絞り込む際に、いったんは栗原をカットする決断をした。だが、落選を聞いた直後に巨人の2軍選手と一緒に1人黙々と特打を始めた栗原を見た。「落ちても栗原は練習していた。野球人として見習ってほしい」とサムライたちの基本となる姿だと話している。そしてジャパンが緊急事態に陥った時「村田の役割を果たしうる選手は栗原しかいない」と再びクローズアップされたのだ。栗原の役割は「右の大砲」。特に決勝で韓国と対戦することになれば必ず先発してくる左腕への切り札にもなる。

 負傷した村田は20日(日本時間21日)帰国の途に就く。原監督は村田に「素晴らしい戦いざまをみせてくれた。でも我々にはまだ目指すものがある。入れ替えたい」と告げた。村田は「すみません」と悔しがったという。

 つらいが前を向くしかない。韓国戦に快勝した日本は22日(同23日)準決勝で米国と対戦する。原監督は「非常に興奮している。野球を始めるにあたってメジャーに追いつけ、追い越せの教育を受けてきた。その尊敬できる米国に挑戦ができる」と前を向き、うなずいてみせた。【寺尾博和】

(3月21日付日刊スポーツ)

 [2009年3月24日15時55分 紙面から]

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