専科スター凪七瑠海が11月10日、退団公演となる花組「エンジェリックライ」「Jubilee(ジュビリー)」の兵庫・宝塚大劇場公演千秋楽を迎え、入団約21年半を過ごした本拠地に別れを告げた。
本編上演後にはサヨナラショーも上演。ショーは、全国ツアー初主演作から、凪七のソロ「パッション・ダムール」で幕開け。情熱的な赤いサテン生地衣装で歌声を響かせた。
新人公演初主演作「カサブランカ」、東上単独初主演作「蘭陵王」からのナンバーも披露。ショーを終えると、最後のあいさつに臨んだ。大階段は正装はかま姿で下り、中腹で一礼。花組生が並ぶ両脇を見渡し、満面笑みを浮かべた。
花束は、専科から瀬央ゆりあ、同期は元花組トップ明日海りおから渡され、一呼吸おいて、口を開いた。
「気がつけば、宝塚の存在が幼い頃から、当たり前のように、ずっとそばにいてくれました」
退団まで約22年に及ぶ宝塚生活は「人生のすべて」だったと言い「勇気をもっていろいろなこと、コツコツ挑戦し、乗り越えてまいりました」と振り返った。
「最後に勇気を持って決断したことは、退団ということでした。ここまで情熱をもって愛した宝塚(との別れ)、相当な勇気が必要でした。ですが、今、最高に幸せと言い切れます」
客席を見渡し、笑みを振りまき「こんな気持ちになれましたのも、たくさんの愛に他なりません。すべての方々に、最大の愛と感謝を込めまして、22年間本当にありがとうございました」とあいさつを締めた。
いったん幕が閉じた後、複数回、カーテンコールにこたえ、花組トップ永久輝せあから言葉を求められると、凪七は「まずは、ひとこちゃん、宝塚大劇場でのトップお披露目、おめでとうございます」と、永久輝の本拠地お披露目公演の千秋楽を祝福。「今日は情緒を保つのが必死だったんですけど、今はとてもすがすがしい思いです」と晴れやかな表情で話した。
専科からのサヨナラショー開催は、05年の初風緑、樹里咲穂の例があるが、異例だった。凪七は今後、東京宝塚劇場公演の開幕を12月7日に控え、東京公演千秋楽の来年1月19日付で退団する。【村上久美子】
■綺城ひか理も“夢の工場”卒業
今公演は、人気スター綺城ひか理にとっても宝塚最後の公演。凪七のサヨナラショーでは、「ロミオとジュリエット」の楽曲をソロで歌い上げた。同期の花組トップ永久輝から花束を贈られ、「歌を歌いたくて入った宝塚。声を出すことが怖い日もありましたが、お客さまの拍手が私に力をくださいました」と感謝。宝塚を「夢の工場」とし、続けた。
「数え切れない人たちが愛情を注いだ作品を私たちが責任を持ってお届けする。自分が積み重ねてきた思いを受け継いでくれるみんながいる。卒業することに何のためらいもありません。夢を見せていただいたのは私の方でした。14年間、ありがとうございました」とスピーチした。