★ついに新選挙制度改革の協議が始まるか。今年6月「政治改革の柱として衆議院選挙制度の抜本改革を実現する超党派議員連盟」が発足。各党の幹部級も含めた約90人が参加した。そこでは「(選挙区で)1人しか当選できないことで、(複数の候補者が)互いを批判しがちな選挙になり、建設的な国会にならない」との声が出た。今の選挙制度は当時の米国や英国の2大政党制を取り入れた方が政権交代しやすく、小選挙区比例代表並立制の方がカネがかからないとの考えから始まった。
★22日、同議員連盟は衆院議長・額賀福志郎、同副議長・玄葉光一郎を訪ね、今臨時国会中に衆院全会派で構成され、選挙制度の抜本的な検討を行う正式な協議機関を設置すべきと要求した。議連幹事長・福島伸享(有志の会)は「議連の全ての政党・会派の中では、現行の選挙制度に限界が来ていることは共通認識だ」とした。また28日には与野党の国対委員長・自民・坂本哲志、立憲・笠浩史が衆院議長と会い、同様の協議会の設置を求めた。22年に施行された衆院小選挙区を10増10減する改正公職選挙法では、付帯決議でさらなる選挙制度改革について「25年の国勢調査の結果が判明する時点をめどに具体的な結論を得るよう努力する」とあり、この要求は逆算すると今から始めないと間に合わないという現実もある。
★選挙制度改革は政治改革につながるという考えは各党の共通認識だが、同時に世界の2大政党制の崩壊が引き金にもなっている。米国では共和党が政策を出せば民主党がつぶす、その逆もしかり。トランプ政権以来米国は国民の分断が進み、2大政党はそのまま国家の二極化に変容する。また昨今のSNSを軸とする選挙手法にもメスを入れたいが憲法で保障するさまざまな自由に抵触しかねず、そして法制化は難しい。選挙制度の中で公正な選挙への誘導が必要との認識だろう。無論1票の格差は人口減や格差社会に直結する。政治家の人材不足や低レベル化の歯止めも必要だ。選挙制度は急務だ。(K)※敬称略