能登半島地震被災地で寒ブリ初競り 1匹200万円「日本一のブリや!」市場に拍手と歓声
石川県の冬の味覚「能登寒ブリ」の水揚げが、能登半島地震で被災した能登町の宇出津港などで本格化し、2日、金沢市の市場で初競りが開催された。
県内の定置網で取れた天然ブリの高級ブランド「煌(きらめき)」に1匹が認定され、200万円の値が付いた。競り落とした人が「日本一のブリや!」と威勢の良いかけ声を上げると、場内で拍手と歓声が湧き起こった。
地震や津波で水揚げ場が隆起や陥没するなどの被害を受けた宇出津港では、漁船から揚げられた網が作業台で開かれ、勢いよく飛び出したブリで埋め尽くされた。漁師たちは氷が敷き詰められたカゴに大きさごとに仕分け、豊漁を喜んだ。
漁師の芝政博さん(64)は「岸壁が損傷したり海底の地形が変わったりして不安はあったが、例年通りの量が揚がっている。続いてくれればうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。「港が盛り上がらないと地域の活性化につながらない。元気になれるように頑張りたい」と話した。
重さ16キロ超の煌を落札した七尾市のスーパー「どんたく」の山口宗大社長(41)は「能登を元気にしたいとの思いで購入した。漁師さんたちが頑張っている姿を見てもらい、おいしいブリを味わってほしい」と話した。
地元漁協による煌の認定制度は2022年にスタートした。重さ14キロ以上で傷がないことなどが条件。この日、七尾市の佐々波地区で水揚げされた1匹が認定された。(共同)