女子バレーボール準々決勝 米国に敗れた後、長岡(右)をねぎらう木村(撮影・江口和貴)
女子バレーボール準々決勝 米国に敗れた後、長岡(右)をねぎらう木村(撮影・江口和貴)

<リオ五輪:バレーボール>◇16日◇女子準々決勝

 日本が0-3で米国に敗れ、2大会連続メダル獲得はならなかった。この一戦を、インドアとビーチバレーで五輪4大会連続入賞の高橋有紀子さん(48)が分析した。

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 日本は第3セットの13-20から7連続ポイントを挙げました。木村沙織選手を中心に得点しましたが、調子が上がるのが遅すぎましたね。日本のようなチームは1次リーグ第1試合の第1セットから力を出さないと、五輪の舞台では勝ち抜けません。

 ただ世界ランク1位を相手に、石井優希選手、長岡望悠選手は今日の試合が一番良かった。セッター宮下選手も課題だったミドルを使おうという意図が見えていました。それでもトスの高さ、タイミングが完全に合っていなかったのは事実です。

 米国のセッター(グラス)と比べてみると、やはり差はありました。ボールの質の違いです。トスが無回転で、アタッカーが打つときに止まるようなボールを上げていました。全身の力がボールに乗っていてブレない。宮下選手のボールは回転がかかっているので、アタッカーが打つときに落ち気味になりがちでした。セッターはチームの中心ですから、体力、技術ともにさらにレベルアップしてほしい。宮下選手にはその余地がありますから。

 今大会を通じての敗因を考えると、一番は「体力」でしょうか。外国勢と比べて見劣りする部分がありました。日本は一番いい状態でやっと強豪と五分という実力。このいい状態を3セット続けるには、体力トレーニングから見直す必要があると思います。身長で劣る分、日本の選手は、より動かないといけない。もっと体作りにフォーカスすべきです。

 4年後の東京五輪に向け、木村選手の後継者を作ることも重要です。今回、初めて五輪を経験した石井選手や長岡選手には大きな財産となったはずです。「五輪は他の大会とは違う」ということを肌で感じてくれれば、さらなる成長につながります。今回メンバーから外れた古賀紗理那選手なども、五輪のコートを体感してほしかった。落ち込んでいるヒマはありません。東京でメダルを取るために、早くスタートを切ってほしいです。


 ◆高橋有紀子(たかはし・ゆきこ)1967年11月12日、長野県須坂市生まれ。墨坂中でバレーボールを始め、エースアタッカーとして全国制覇。八王子実践高に進みセッターとして大林素子らとともに春高バレー準優勝。86年日立に入団し、日本代表として88年ソウル五輪(4位)、92年バルセロナ五輪(5位)出場。ビーチバレーに転向し、96年アトランタ五輪(5位)、00年シドニー五輪(4位)出場。168センチ。