【札幌レター〈77〉】担当記者・保坂果那が見た新戦力〈上編〉

北海道コンサドーレ札幌がJ1残留に向けて、今夏大補強を行った。6月に練習生から加入したDF大崎玲央(33)から始まり、MFフランシス・カン(26)、FWジョルディ・サンチェス(29)、FW白井陽斗(24)、DFパク・ミンギュ(29)、FWアマドゥ・バカヨコ(28)、FWキングロード・サフォ(22)の7選手が仲間入り。初めて出す情報や裏話を含めて、取材で感じたそれぞれの印象を上下編で紹介する。まずは大崎、カン、サンチェスの3選手。

サッカー

ミシャが認める男

DF大崎玲央(33)
前所属:UAE1部エミレーツ・クラブ

6月8日から練習に参加し、同21日に加入が発表された。当時は連敗の真っただ中で、最下位に沈んでいた。報道陣からは苦しいチーム状況について何度か質問が出た。その度に「順位は関係ない。まだ終わっていない。最下位にとらわれすぎず」と強調した。私は札幌に残留する力があると感じているのか聞いた。質問に対して食い気味に「最下位ということは考えていない。ただの順位。全然まだまだ可能性は多いにある」と言い切っていた。

既存の選手たちも残留への思いは口にしていたが、ここまで力強く断言する選手はいなかった印象だった。チームの雰囲気を変えそうな予感があった。

ペトロビッチ監督もそう感じたのかもしれない。選手登録完了後の同29日新潟戦(0-1)で即メンバー入りし、途中出場で札幌デビューを果たした。試合前日の監督囲み取材で、質問が出る前に自ら「先に答えますが、玲央はメンバーに入る」と明言するくらい、指揮官に迷いはなかった。

ミシャ体制でシーズン途中で加入した新戦力が即起用されるのは珍しい。過去には21年のFWトゥチッチや23年のGK高木駿がチーム合流から1週間以内で札幌デビューを迎えたが、現在の中心選手のMFスパチョークは22年6月にチームに合流して7月の選手登録後も試合に絡めなかった。

基本的には新加入選手について指揮官に聞いても、すぐに高評価や前向きなコメントは出てこない傾向。ある選手が加入した際に「Jリーグの他クラブがチェックしていなかったはずがないが、札幌に来たということは…」と、自身の期待度の低さを遠回しに表現したことがある。ただ大崎の練習参加初日には「実績のある選手なので、練習参加という形を取るのは、彼のこれまでのキャリアを見ればちょっと失礼かなという思いもある」と、さっそく歓迎ムードだったのも、これまでと違った。

昨季から狙っていた男

MFフランシス・カン(26=ガーナ)
前所属:ポルトガル2部マリティモ

強化部が昨オフにも獲得を検討していた選手だ。だがカンの負傷で断念。今夏ついに実現した。8月21日天皇杯4回戦千葉戦(0-1)での途中出場1試合のみで、まだリーグ戦出場はなし。まだペトロビッチ監督の評価を得られておらず、一時ケガ人続出で手薄だったウイングバックの選手が復帰したことでチャンスを逃している。

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スポーツ

保坂果那Kana Hosaka

Hokkaido

北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。