ソフトバンク野村勇内野手(28)にはブレークを待ち望むファンが多い。
プロ1年目に打率2割3分9厘ながら、10本塁打、25打点、10盗塁をマーク。外角直球にとことん強く、未来のトリプルスリー達成を期待される。輝かしいルーキーイヤーから一転、2年目、3年目は打率1割台で本塁打も盗塁も激減。来季がプロ4年目の29歳シーズンになる。
伸び悩む原因はシンプルだ。今季1軍で打撃コーチを務めた村松有人2軍打撃コーチ(51)は「本人が課題を理解していない」と話していた。「勇はセンスで野球をやってきたタイプ。アマチュアでは通用しても、プロの世界ではそう簡単にはいかない。技術を磨いて修正しての繰り返し。当然、研究もされるから」。村松、村上両打撃コーチも野村改造に力を尽くしたが、打席に立つのは本人。野村の意識が変わらなければ、技術は伸びない。村松コーチは「俺もプロに入って最初はセンスだけでやっていた。でも技術が大切だと気づいたのは30歳前後。勇もまだ間に合うはず」と、マンツーマンでティー打撃を行いながら成長を切に願っていた。
プロ1年目はお立ち台で「いさみちゃんピース」を披露するなどムードメーカー的な存在でもあった。2年目以降は少しばかり笑顔が消えた気がする。今季終盤、失礼を承知で「表情が暗いですよ」と話しかけると「野球が面白くない。どうしたらええんやろ?」と悩み、もがいていた。今オフは勝負になる。自主トレは今年から同じ内野手の今宮健太内野手(33)に弟子入りする。
ポテンシャルは申し分ない。野村勇の覚醒が待ち遠しい。【ソフトバンク担当 只松憲】