2日に横浜スタジアムで予定されていた日本シリーズ第6戦は雨天中止になりました。季節外れの台風も来たりして、本当に今年はややこしい気象ですね。それにしても同シリーズはやっぱり面白い。虎党もGファンも、あるいは新庄日本ハムのファンも、みな、楽しんでいるのではないでしょうか。

ドジャースの4勝1敗であっさり終わった大リーグのワールドシリーズと違い、優勢と思われたソフトバンクを相手にセ・リーグ3位のDeNAが粘り、3勝2敗と王手をかけて本拠地に戻ってきた状況です。

そこに水入りとも言うべきか、無念の雨天中止。がっかりしますが、これで思い出すのが03年の日本シリーズです。当時のダイエー・ホークスを相手に、闘将・星野仙一率いる阪神が挑んだ戦い。当時、阪神キャップだったときのことを思い出しました。

同年10月18日に開幕した同シリーズ、阪神は敵地・福岡ドーム(当時)で第1、2戦に連敗します。「これは簡単にやられてしまうか」と思い、暗い気持ちで甲子園に戻りましたが第3戦が予定されていた同21日は雨天中止に。

これで少し流れが変わりました。翌22日の第3戦から阪神はなんと3連勝。王手をかけて、福岡に再度、乗り込んだのです。しかし、結局、ここで第6、7戦に連敗。悲願の日本一はならず、全試合、ホーム側が勝つ「内弁慶シリーズ」が完結したのです。

さらに「日本シリーズと雨」と言えば、球史で有名なのが1958年(昭33)のそれではないでしょうか。巨人と西鉄ライオンズの戦いとなったこのシリーズ、3連敗を喫した西鉄が4連勝。「3連敗4連勝」で逆転日本一を飾ったものです。

ここでも流れを変えたのは雨でした。同10月11日に後楽園球場で始まったシリーズは巨人が連勝。13日に勇躍、福岡・平和台球場に乗り込みます。そして14日の第3戦も巨人が勝利。王手をかけたのです。

しかし翌15日は雨天中止に。すると16日の第4戦、17日の同5戦は西鉄が連勝で逆襲します。そして東京に場所を移した6、7戦も西鉄が連勝。大逆転の結果となったのです。

いずれも福岡のチームが関連しています。それでいけば今年もひょっとしてソフトバンクの連勝…? などと思ったりしますがこればかりは分かりません。最後までプロ野球ファンを楽しませてくれる熱戦を期待します。【編集委員・高原寿夫】

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

1958年日本シリーズ第7戦 巨人対西鉄 西鉄日本一 3連敗から奇跡の4連勝で優勝し、喜び合う西鉄の左から豊田泰光、中西太、稲尾和久ら西鉄ナイン 
1958年日本シリーズ第7戦 巨人対西鉄 西鉄日本一 3連敗から奇跡の4連勝で優勝し、喜び合う西鉄の左から豊田泰光、中西太、稲尾和久ら西鉄ナイン