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侍ジャパンメンバー

外野手 糸井 嘉男

#9 Yoshio Itoi
糸井 嘉男

(C)NPB/BBM2013

所属 オリックス
今季年俸 2億円
投打 右左
生年月日 1981/7/31
出身地、経歴 京都、宮津-近大-日本ハム
身長・体重 187センチ・88キロ
2012年成績 134試合、9本塁打、48打点、22盗塁、打率.304
五輪、WBC出場歴 なし

今も木登り、世界驚かす天然パワー

糸井 嘉男

 凡人の理解を超越した本能を持つ。日本ハムからオリックスへ電撃トレードが決まった糸井嘉男外野手(31)は規格外、ハチャメチャなプレースタイルで初めて日の丸を背負う。外野手のレギュラーの有力候補は、天然素材だ。京都の実家へ帰省時の恒例行事が、持ち前の野性味を物語る。子供のように、自宅の庭にあるミカンの古木によじ登る。家族のために果実を収穫するのが、今も特技の1つ。「どんな投手いるんやろ、楽しみ」。アマを含めて初の国際舞台で出会う獲物に、舌なめずりしている。

 感性のままに動く。走攻守に日本球界のトップクラスへと上り詰めた個性の土台だ。近大時代に50メートル走5秒76をマークした快足が、その象徴。日本ハム入団当初にトレーナー陣を驚嘆させたのはスピードではなく、その走法だった。脚を上げる時に、一般的な日本人は太もも表側の筋肉を主に活用するが、糸井は裏側を使っていたという。誰に教えられるでもなく、肉体の操縦法を体得していた。

 現在に至る大きな分岐点でも、才能が光っていた。ドラフト1位相当の自由獲得枠で03年、最速150キロ超の即戦力投手で入団。3年目の06年4月に野手へ転向したが、そのころの2軍戦だった。中堅で出場した糸井が右翼方向へ飛んだ打球に、なぜか逆の左翼へ走りだした。周囲はあぜん、爆笑の珍プレーだったが、この試合を見ていた山田GMが「でも反応が速く、すごかったんだよ」と話すように、天性の一端をのぞかせていた。

 直感に従うことが、最高のパフォーマンスを生む源泉だ。考えすぎると能力が減退してしまうという、こぼれ話もある。投手時代の2軍戦で、走者を背負ったピンチでパニック状態に。セットポジション中に固まったまま突如、タイムをかけてしまったのだ。糸井の明かした理由が、衝撃的だった。「どう体を動かしていっていいか、分からなくなった」。日本ハム首脳陣は、いまだ守備のサインを控えている。制約をつけ、糸井の野生の勘が停止しないようにとの対応策だ。

 「キューバとか、超身体能力高いんでしょ。どんな、なんかな」。ワクワクしている侍ジャパンが誇る神秘的な超人。再出発を期す日本の新天地での前哨戦で、世界を驚かせることになる。【高山通史】

 (2013年1月24日付日刊スポーツ紙面掲載)









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