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侍ジャパンメンバー

投手 前田 健太

#20 Kenta Maeda
前田 健太

(C)NPB/BBM2013

所属 広島
今季年俸 2億1000万円
投打 右右
生年月日 1988/4/11
出身地、経歴 大阪、PL学園
身長・体重 182センチ・73キロ
2012年成績 29試合、14勝7敗0S、防御率1.53
五輪、WBC出場歴 なし

金田、江川、そして…マエケン

前田 健太

 宝刀は胸に忍ばせている。前田健太投手(24=広島)の武器といえば、球界NO・1の呼び声が高いスライダーとチェンジアップ。だが、WBCでは「スライダーや、チェンジアップにも匹敵するかもしれない」と感じる第3の宝刀がある。

 それがカーブ…それも大きな弧を描いて縦に割れる、いわゆるドロップだ。変化が大きくて、ストライクの判定が難しいため、シーズンでの投球比率は決して多くはない。だが、国際大会ではストライクゾーンも広く、相手も打ち気に走ってくる。この球が前田健のカギになる可能性もある。

 プロ3年目にスライダーを完全にモノにするまでは、カーブが唯一無二の武器だった。初めて投げたのは中学時代。それも打席内でひらめいた球だった。「バッターは縫い目で球種が分かるから、分かりづらくしようと思った」。より直球に近い縦回転にすれば、球種がばれにくい。こんな発想から習得した球は、PL学園、そしてプロ入り直後まで前田健の投球を支えた。

 配球だけではない。調整段階から、カーブが重要な役割を果たしている。毎年、春季キャンプで最初に解禁するのも、この球種。曲がりの確認ではなく、腕の振りを確認するためだ。肘を突き出し手首が遅れてくる一連のしなりを生み出す動きが、投球フォームにおいて理想の形。カーブの回転量が増すことに比例して、直球の球速も上がるのだという。イニング間の投球練習でも、直球の次にカーブを投げることがルーティン。すべての球種の原点になっている。

 「(打者は)追い込まれてから、カーブでの見逃しが一番悔しいと思う。余裕と自信がないと投げられないですけどね」。かつては、金田(巨人)、江川(巨人)といった大投手も愛用していた“名刀”。待ちに待った世界の舞台で、若き侍が愛刀を抜く。【鎌田真一郎】

 (2013年2月14日付日刊スポーツ紙面掲載)









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