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侍ジャパンメンバー

投手 能見 篤史

#14 Atsushi Noumi
能見 篤史

(C)NPB/BBM2013

所属 阪神
今季年俸 1億2000万円
投打 左左
生年月日 1979/5/28
出身地、経歴 兵庫、鳥取城北-大阪ガス
身長・体重 180センチ・72キロ
2012年成績 29試合、10勝10敗0S、防御率2.42
五輪、WBC出場歴 なし

野手からよく聞く「無表情の投手は嫌」

能見 篤史

 喜怒哀楽を表す他国選手からすれば、能見篤史投手(33=阪神)の表情は奇妙にさえ映るだろう。快投してもほえない。痛打を浴びても顔をゆがめない。だが、「日本人は無表情で何を考えてるのか分からない ! 」と安易に解釈しないでほしい。これは試行錯誤の末に作り出した虚像。「プロに入って自然とね…」。本当は人一倍熱い男だ。

 少年時代は、打たれて悔しくて泣きながら投げた。「打たれたらおもしろくない。悔しければ悔しい。それだけだったから」。鳥取城北時代も気持ちを顔に出した。当時の橋本謙監督も「当時は打たれたら『何クソ』と表情を変えていた」と証言している。

 だが、今はまるで別人だ。「シーズンは144試合ある。先のことも考えれば、相手にダメージを食らったと思われたくもないし」。無表情の投手は嫌だとも、野手から「よく聞く」。7年間所属した大阪ガス時代は肩、肘の故障に苦しみ、戦力外通告で野球を奪われる恐怖におびえた。崖っぷちからはい上がり、必死で野手心理を探った経験が、鋼鉄の仮面をつくりあげた。

 10年夏にその強みが凝縮されている。右足甲骨折から9月に復帰し、1カ月間で中継ぎ2戦を含む7戦に登板した。救援登板から中2日で先発しても涼しげ。どれだけ難局に立たされても、表情を変えなかった。「打たれても試合は終わっていない。野手にガクッとした姿を見せたくない。そういう姿はゲームセットになって見せればいい」。

 WBCの国際舞台で敵に恐怖心を植え付け、動揺させるにはもってこいの存在。無表情は必ず武器になる。ただ、仮面の裏には熱い血がたぎっている。「ガッツポーズとかはいいと思ってるよ。前向きな感情はチームを盛り上げるから。一発勝負はもっと気持ちが入るし、WBCでは(どうなるか)分からない」。山本監督からはリリーフとしても期待される。侍ジャパンの苦境を救えば、自然と体が動くかもしれない。ただ「鉄仮面」だけは、なかなか外れないことで有名だ。【佐井陽介】

 (2013年2月4日付日刊スポーツ紙面掲載)









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