元大関貴景勝の湊川親方(28)が、本場所初の職務にあたっている。主な職務は西の花道の警備。現役を退いて間もない、新人親方が歴代務めている。現役終盤は慢性化した首痛に苦しみ、9月の秋場所で初日から2連敗を喫して引退。同じく秋場所限りで引退した振分(元関脇妙義龍)、岩友(元関脇碧山)の両親方とローテーションで、十両から結びの一番で、土俵内外に目を光らせている。初日は幕内後半を担当し、用意されているイスに1度も座らず、立ち続けていた。
警備は2日目が十両、3日目が幕内前半と続き、再び幕内後半を担当した4日目だった。押し相撲を一筋に貫いてきた湊川親方が、独自の理論の一端を明かした。大関大の里が、前頭阿炎に初黒星を喫した一番の直後、モニターでリプレーを確認しながら語った。
湊川親方 (立ち合いから阿炎が、のど輪で押し込んだ後に左に動いた姿に)オレらは手のひらにセンサーが付いている。そのまま突いていけばいいように見えても「これ以上いったらケガする」と分かる。やっている人しか分からない。理屈じゃない感覚がある。
親方衆最年少だけに「新弟子の時のような緊張感がある」という。ただ現役に最も近く、若い衆の成長を「楽しみ」と語る。独自の感性を継いだ“第2の貴景勝”誕生は、遠い未来ではなさそうだ。【高田文太】