22年も残り1週間となった。今夏からWWEの現場責任者が会長兼CEOだったビンス・マクマホン氏からトリプルH氏に変更され、コロナ禍による経費削減で解雇されていた選手たちが次々とカムバック。多くの因縁も生まれた1年だった。今年のWWEマットで活躍したトップレスラーは誰か? 海外メディアのランキングを紹介しながら、主要選手たちの躍動ぶりを振り返る。今回は女子レスラー編。
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このほど英スポーツメディア「GIVE ME SPORTS」選定のWWE女子レスラー22年トップ10が発表された。年間を通じて数多くの選手が加入、休養しており、入れ替わりの激しい1年と紹介しつつ、WWEの女子10人を選んでいる。
【10位】シャーロット・フレアー
WWEで「女王様」と言われるフレアーは今年5月のレッスルマニア・バックラッシュ大会でロンダ・ラウジーとのアイ・クイット(降参)形式スマックダウン女子王座戦で敗退。その直後から無期限の活動停止が発表されたが、5月までは女王様として存在感を示していた。プライベートでオール・エリート・レスリング(AEW)所属のアンドラデと結婚し、今はリング復帰へのタイミングを待っている状況か。
【9位】サーシャ・バンクス
ナオミとのコンビでレッスルマニアでWWE女子タッグ王座を獲得したが、防衛戦が組まれないとして不満を爆発させ、5月16日のロウ大会を無断欠場。そのまま同王座剥奪となった。俳優業もこなす人気レスラーだが、ナオミとともにWWEから離れている。
【8位】ロンダ・ラウジー
1月のロイヤルランブル大会の女子ロイヤルランブル戦(30人出場時差式バトルロイヤル)で優勝し、スマックダウン女子王座を2度戴冠。しかしGIVE ME SPORTSでは元UFC女子バンタム級王者でもあるラウジーに対し「プロレスは勝敗だけではない」と解説。今年中盤以降のヒール転向がファンの支持を得ていないことを指摘した。
【7位】リブ・モーガン
「かわいい系」レスラーとして人気上昇していたところでマネー・イン・ザ・バンク大会での女子ラダー戦を初制覇。王者ロンダ・ラウジーを下し、スマックダウン女子王座を初めて獲得した。王座保持期間は長くなかったものの、キャリア最高の1年になったことは間違いない。
【6位】ベイリー
昨年7月、練習中にひざを故障し、前十字靱帯(じんたい)損傷。今年7月の真夏の祭典サマースラム大会で復帰した。その際、イヨ・スカイ(紫雷イオ)、ダコタ・カイとユニット結成を示し、現在は3人でダメージCTRL(コントロール)としてWWE女子戦線をかき回している。ロウ女子王者ビアンカ・ブレアへの挑戦は失敗したものの、スカイ、カイのWWE女子タッグ王座獲得もサポートするなどWWEマットに新しい波を起こしている。
【5位】アスカ
22年にシングル王座は獲得できなかったが、アレクサ・ブリスとWWE女子タッグ王座に返り咲き。11月のサバイバーシリーズ大会では女子ウォーゲームズ(5対5チーム戦)で毒霧噴射してチームの勝利をアシスト。GIVE ME SPORTSでは「ここ数年でWWEが獲得した絶対的なレスラーの1人。間違いなく史上最高の日本人スター」と紹介されている。現在は「旅に出る」と一時的な活動休止状態に。
【4位】マンディ・ローズ
昨年10月にNXT女子王座獲得後、SNSなどのセクシー投稿も後押しに「妖艶女王」として人気者に。NXT女子王座保持は1年以上続き、ジジ・ドリン、ジェイシー・ジェインとのユニット、トキシック・アトラクションはNXTで人気を博した。しかし有料SNSでのセクシーすぎる投稿が契約違反と認定され、今月中旬に解雇された。
【3位】リア・リプリー
フィン・ベイラー、ダミアン・プリースト、ドミニク・ミステリオの男子トリオの中で1人、女子レスラーとしてユニット、ザ・ジャッジメント・デイで活動。身長171センチで筋肉質の肉体を持ち、男子との乱闘でも負けない。最近では戸沢陽とのシングル戦でも勝利するなど男子顔負けのパワフルな活躍が高く評価されたようだ。
【2位】ベッキー・リンチ
ヒールの「ビッグタイム・ベックス」として今年前半を走り抜け、4月のレッスルマニアまではロウ女子王者として躍動。7月の真夏の祭典サマースラム大会でビアンカ・ブレアに敗れた後に再び本来の「ザ・マン(超雄)」というベビーフェースに戻った。約3カ月ほどの休養後、11月にリング復帰し、ダメージCTRLらとの抗争を続ける。
【1位】ビアンカ・ブレア
WWEのビッグマッチとなる年間最大の祭典レッスルマニア大会、真夏の祭典サマースラム大会で、ベッキーリンチに連勝。ダメージCRTL結成で勢いづくベイリーも撃破。11月のサバイバーシリーズ大会の女子ウィーゲームズ戦では「大将」として勝利に貢献するなど大活躍だった。
豊富な選手数で年間を通じて活躍するのが難しいWWEマットで22年の1位に輝いたのはブレアだった。ロウ女子の「顔」として十分すぎる活躍をみせており、文句なしのトップとなるだろう。日本勢ではアスカが5位にランキング入り。現在、WWE女子タッグ王座を保持するスカイが来年ランキング入りする可能性は十分ありそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)